断章27

 去る3月27日付けの韓国紙は、「日本による植民地時代に強制徴用され、韓国政府から被害事実を認められた被害者が21万8693人に上ることが分かった。強制徴用被害者らを支援する市民団体が行政安全部に対し行った情報公開請求により開示された資料で明らかになった」「同団体が日本企業を相手取り新たな集団訴訟を起こすため弁護士団体と共に3月25日から開始した原告募集には2日間で71人が申請した」と報じている(注意すべきは、その受付窓口が光州市庁に設置されているということである。行政と一体化しているのだ)。

 

 そして、4月29日、南西部・光州地域の原告54人が新たに日本企業9社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こした。
 「被告企業は三菱マテリアル(旧三菱鉱業)、三菱重工業、住石ホールディングス(旧住友石炭鉱業)、日本コークス工業(旧三井鉱山)、日本製鉄(旧新日鉄住金)、JX金属(旧日本鉱業)、西松建設不二越日立造船の9社。原告54人のうち3人は直接被害を受けた当事者で、51人は死亡した被害者の遺族だ」「今後、さらに追加訴訟を起こす計画という」(韓国・聯合ニュース)。

 

 5月1日、韓国の元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らが日本企業に損害賠償を求めた訴訟で、原告側の代理人弁護士は、既に差し押さえた日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越の韓国内の資産売却命令を出すよう裁判所に申請したと明らかにした。一連の訴訟で資産売却命令申請は初めてである。

 

 そして、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は5月7日、日帝強制徴用被害者代理人団が1日に戦犯企業である日本製鉄(旧新日鉄住金)の差し押さえ資産を現金化してほしいという内容の売却命令申し立てを受け付けたと明らかにした。

 

 文在寅政権は6カ月間、徴用工問題について何もしていない。

 韓国・文在寅政権が大法院判決に対して手をこまねいていることは、意図的なものだ。

 徴用工問題に関する文在寅大統領の本音は、「日本の植民地支配は違法だった。賠償せよ」ということである。

 ところが、当の本人が、「徴用被害者問題は1965年の韓日請求権協定で解決したという見解を決めた2005年の盧武鉉政権時に、当時この決定を下した委員会に民政首席秘書官として参加していた」立場上、今はまだ、正面切って本音を言うことを控えているのだ。

 

 文在寅は、気脈を通じた人間を大法院に送り込んで今回の大法院徴用工判決を出させたうえで、「三権分立の司法が決めたことだから」「国民の権利行使の手続きに対して政府が介入してはならない」「経済交流と政治は別」とうそぶきながら、姑息な引き延ばしをしている。

 これは、「ずるがしこい引き延ばし戦術」である。

 ズルズル引き延ばすことで 

1.徴用工訴訟の参加者がさらに増え

2.やがて世間知らずでお節介な善意の「人権派」がもっと騒ぎ出し

3.日本からの反発が増すほどに韓国内の文在寅支持が増えるだろうと計算しているのだ。

 

 どれほど月日が流れても「反日」の止まない過去志向であり、外国公館の尊重を定めたウイーン条約を踏みにじり(日本公館前に嫌がらせの偶像を置くのは世界中で韓国だけだ)、国家間合意を破棄し、国際法に違反し、日韓国交正常化の根幹を破壊する文在寅政権を厳しく批判しなければならない。