断章45

 韓国政府は、韓国大法院判決後およそ8カ月近く日本政府の対話提案に応じなかった。にもかかわらず、日本政府が半導体材料の輸出規制強化を発表するや、「待っていました」とばかりに対策を打ち出している。

 

 今回の日本の規制発表は、文在寅政権にとって完全に想定内のものであった。

 むしろ、こうなるのを「待っていた」と言ってもよいのである。

 

 わたしは、以前すでに、

 「韓国・文在寅政権が大法院徴用工判決に対して手をこまねいていることは意図的なものだ。文在寅は、『三権分立の司法が決めたことだから』『経済交流と政治は別だから』『国民の権利行使の手続きに対して政府が介入してはならない』とうそぶきながら、時間稼ぎをしている。ずるがしこく引き延ばすことで、

1.徴用工訴訟の参加者がさらに増え

2.世間知らずのお節介でナイーブな「人権派」があれこれ騒ぎだし

3.日本からの反発が増すほどに韓国内の文在寅支持が増えることをもくろんでいるのだ」と指摘した。

 

 ほら、見てみたまえ!

 「韓国の文在寅大統領の支持率が50%台を回復し、7カ月ぶりに最高値を記録したという世論調査の結果が7月4日、出てきた」そうである。

 

 「反日」のトップランナーも張り切っている。

 「日帝に抵抗して祖国光復(解放)に献身した独立有功者とその遺族で構成された韓国の政治団体『光復会』が日本の経済報復に関連して声明を発表した。

 光復会は7月2日、声明を通じて『韓国大法院が日帝強制徴用被害者の強制労働で富を築いた反人道的犯罪を犯した日本企業が損害賠償をするよう判決を下したのは国境を超えた21世紀文明社会で通用する基本的な法理』と主張した。

 続いて『過去の時代、親日反民族政権の対日低姿勢外交で間違ってしつけた日本のごり押しに、文在寅政府は後退してはならない』とし『この機会に日本が韓国を見下す癖を直しておかなくてはならない』と主張した。

 また『日本全国にクモの巣のように敷かれた鉄道の枕木一つ一つは、朝鮮人強制労働者の死体と言っても過言ではない』とし『日本政府が韓国裁判所の判決を“韓日関係を著しく損なうものだ”と言って経済報復に出るということは容認できないごり押し』と付け加えた」(2019/7/2 中央日報・日本語版)。

 

 歴史的事実と経緯の無知と歪曲の「北朝鮮」並みの声明である。あほらしい。

 

 この韓国の“ナショナリズム”は、「反日という形で韓国のナショナリズムが育っていった。しかし、愛国のナショナリズムではないから、韓国人はお金を儲けて余裕が少しできると、次々に国を捨ててアメリカをはじめとする先進国に移民してしまう。いまアメリカにいる韓国人の移民は推計で三百万人を超えている」(吉田 博司)たぐいのものである。

 もっとも、こんな「反日」のナショナリズムも「用日」のためには十分に役立ったのである。

 

 「用日とは、日本人と交流して、利用すべきだという考え方である。・・・反日を国内外でしながらも、日本から技術や資金など利益を得ようとする行為を示している」(Wiki

 

【補】

 「韓国を離れて海外移住する韓国人が増えている。外交部(省に相当)によると、昨年の海外移住申告者数は2200人だったという。2016年の455人に比べると、2年で約5倍に増えた。リーマン・ショックがあった2008年以降で最多であると同時に、人数が4けたに達したのも9年ぶりとなる。資産家は韓国の政治・経済状況を、中産階級は環境・教育問題を主な原因として挙げている。(中略)

 建国大学のシム・ギョオン教授は、『政治・経済的不安が資産家だけでなく中産層までも海外に向かわせている』と語った。外交部によると、海外移住申告者数は2014年から16年までは249人→273人→455人と特に大きな変化はなかったが、17年には825人、昨年は2200人と急増しているとのことだ。

 移住者急増について、韓国政府は今年5月、『制度の変更により、海外移住者が国民年金を一時払いで受け取れるようになったため、”海外移住申告書”の提出が集中したことが原因だと推定される』と述べた。しかし、複数の専門家は『そのような理由だけで最近の急増ぶりを説明することはできない』と話す。事実、韓国社会の所々で移住者増加を示す現象が生じている」(2019/7/6 朝鮮日報オンライン)。