断章85

 中国によるスパイ容疑での日本人拘束に抗議する!

 「北海道大学の日本人の教授が、今年9月、北京を訪れた際に中国の国家安全当局に拘束されていたことが分かりました。関係者によりますと、40代の北海道大学の男性教授は、今年9月に北京を訪れた際、中国でスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束されたということです。拘束された経緯や詳しい容疑などは分かっていませんが、男性は、防衛省防衛研究所や外務省での勤務の経験があるということです。

 これまでに中国でスパイ行為に関わったとして13人の日本人が拘束されていますが、準公務員の国立大学の教員の拘束が確認されたのは初めてのことです。」(2019/10/19 TBS NEWS)という報道がある。

 中国公安の狙いはわからない。日本との取引材料(人質)を増やそうとしているのか、日本への陰険な圧力なのか、解放するから中国のために働くスパイになれと言うのか?!

 

 スパイ容疑という《センシティブ》な問題であり、日本には“東アジア共同体”とかいう“中・朝・韓への土下座”に洗脳された学者・マスコミが多いせいか、中国公安による日本人拘束が問題にされることが甚だ少ない。

 しかし、これは大問題だ。

 第一に、中国はスパイ容疑というセンシティブな問題を《盾》にすることで、政治的なでっちあげ或いは恣意的な拘束であっても、日本当局や日本世論の介入・批判をブロックしようとしている。

 第二に、まったく恣意的な長期拘束をすることである。「2010年に尖閣諸島近くで起きた中国漁船衝突事件の後、準大手ゼネコン・フジタの社員ら4人が河北省石家荘の軍事管区内で拘束されるという事件が起きた。このとき中国当局は、拘束した日本人に対して『居住監視』という措置を適用した。この場合、拘置所ではなく、公安当局が関係する宿泊施設などに軟禁して取り調べを行う。期限は定められているものの、延長が認められており、事実上、無期限で拘束を続けられる仕組みだ。」「当局からすると極めて便利な方法だが、やられる側からすれば、期限の定めがないから無期懲役のようで、たまらなく苦しいという」(『林彪事件習近平 』 筑摩選書)。

 

【参考】

 「中国山東省煙台市の中級人民法院(地裁に相当)は5月17日、温泉開発の調査をしていた日本人男性(73)に対して国家機密を盗み、違法に国外に提供した罪を適用し、懲役5年6カ月と財産3万元(約48万円)を没収する判決を言い渡した。

 またも司法に名を借りた横暴が日本人に降りかかった。中国の裁判所が長期拘束中の日本人2人に懲役12年などの実刑判決を相次ぎ下した問題である。

 『スパイ罪』を適用した日本人への実刑判決は4人となった。

 身柄の拘束から判決まで、根拠となる事実を公にしないまま人身の自由を奪ったことは、重大な人権侵害である。判決は不当だ。

 スパイ活動に関与したとする日本人の拘束問題で安倍晋三首相は、昨年10月の日中首脳会談で前向きな対応を求めた。だが習近平国家主席聞く耳を持たなかった。

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長逮捕を受け、中国外務省の報道官は『理由を示さないままの拘束は人権侵害だ』と述べ、カナダ当局を非難した。

 一連の日本人拘束、さらに中国国内での人権弾圧をみれば、どの口で人権を口実に他国を非難するかとあきれるばかりだ」(出所不詳)。

 

【参考】

 「中国当局の情報機関に協力しスパイ活動を働く公職員や軍関係者を厳罰する『国家安全法』改正案が19日、台湾の立法院(国会)の第三読会(三読)を通過し、可決した。改正案は、中国当局のために台湾でスパイ組織を設立する者に対して、刑事責任を追及し、7年以上の有期懲役と最高額1億台湾ドル(約3億4600万円)の罰金を科すと定める。

 改正案は、国家安全または社会安定に危害を与え、外国、中国本土、香港、マカオなどの海外敵対勢力と、それらの勢力が派遣した者のために働いたり、またはスパイ組織を作った者に対して、3年以上10年以下の有期懲役と、3000万台湾ドル(約1億391万円)以下の罰金を科すとした。

 外国、中国本土などの海外敵対勢力に公的機密情報を提供した者には、1年以上7年以下の有期懲役と1000万台湾ドル以下(約3464万円)の罰金を科す。機密情報を収集した者には、6カ月以上5年以下の有期懲役と300万台湾ドル(約1039万円)以下の罰金を処する。

 また、改正案は、中国当局のためにネット上で情報を収集し、サイバー攻撃を仕掛けるハッカーも厳罰の対象にした。現職、または退職した公職員や軍関係者が、中国当局のために諜報活動を働いたと認定されると、退職金の受領資格のはく奪や、すでに受領した退職金の全額返還を定めた。

 中国軍の諜報員・鎮小江は2002~07年までに、許乃権・元少将を含む台湾軍の退役将校10人を吸収した。『国家安全法』の有罪判決を受け、収監された許は2017年に釈放された。しかし、その後、毎月7万台湾ドル(約25万円)以上の退職金を支給されていることが台湾で問題視された。

 一方、与党・民進党や野党・時代力量の議員は19日の三読で、台湾の新聞社やテレビ放送局などが報道の自由を乱用し、中国当局を美化する『フェイクニュース』を流布している現状を食い止めるため、関連法案の改正および制定を呼び掛けた」(2019/6/20「大紀元」 記者・呉旻洲、翻訳編集・張哲)。