断章97

 先日、日本政府は愚かなことをした。

 「国連総会で人権問題を扱う第3委員会は11月14日、北朝鮮による人権侵害を非難する決議を採択した。同様の決議は2005年から毎年採択され、今回で15回目。日本は2回目から欧州連合EU)と決議案を共同提出してきたが、今回は提出には加わらず、支持するにとどまった。

 日本外交筋は日本経済新聞に『日朝関係を取り巻く情勢を総合的に判断した結果』と説明した。国連関係者の間では、日朝首脳会談の実現に向けて融和姿勢を示したとの見方もある」(2019/11/15 日本経済新聞)。

 

 「北朝鮮」における人権侵害に対して“融和姿勢”を示すことは、1ミリもあってはならない。この日、日本政府は、「反日」のために「人道」「人権」の厚化粧をしているダブルスタンダードの偽善国=韓国の同類になったのである。

 

 韓国の偽善は、これまでも書いてきた、ベトナム戦争での韓国軍による民間人虐殺とライダイハン問題にも明らかである。

 「ベトナム戦争での韓国軍民間人虐殺問題を広める団体『蓮の花の下』と韓ベ平和財団など16団体が開いた『ベトナム民間人虐殺、いま、国家の責任を問う』文化祭の一場面だ。彼らはこの場で、ベトナムでの民間人虐殺に対する国家の責任を問う初めての集会を開き、韓国政府のベトナム民間人虐殺被害者に対する謝罪と賠償▽韓国政府のベトナム民間人虐殺問題に対する真相究明の施行▽ベトナムフォンニィ・フォンニャット村民間人虐殺に対する国家情報院の調査文書公開▽すべての一般教科書にベトナム民間人虐殺問題を追加記載などの措置を求めた。市民たちは『私たちは真実を求める』『民間人虐殺、国家が責任を取れ』『国情院は情報公開を迅速に施行せよ』などスローガンを叫んだ。

 『蓮の花の下』などの説明を総合すると、1964年から始まった韓国軍のベトナム派兵は、クアンナム省クアンガイ省ビンディン省フーイエン省カインホア省などの村で、9千人を超えるベトナム民間人虐殺被害者を作った。この問題は1999年、『ハンギョレ21』を通じて韓国社会で公論化され、その後始まった『ごめんなさいベトナム』運動が20周年を迎えた。当時、『ハンギョレ21』の記者として記事を作成したコ・ギョンテ22世紀メディア代表は『ベトナム戦争での民間人虐殺に対する態度を見ると、韓国は《慰安婦》問題を否定する日本を非難する立場ではないかもしれない。韓国政府が日本政府のようにならないようにしてほしい』と語った。ベトナム戦争での民間人虐殺事件が初めて国内に知られた1999年に生まれたキム・ナム『蓮の花の下』運営委員は『1999年に生まれ20歳の青年になったが、いまだに政府は証拠資料がないということを盾に民間人虐殺の言及を避けている。歴代大統領も“遺憾だ”“悲劇的だ”という言葉から前に進めていない』と指摘した。

 ベトナムフォンニィ・フォンニャット村の民間人虐殺に対する調査文書を公開していない国情院に対する批判も続いた。民主社会のための弁護士会(民弁)のイム・ジェソン弁護士は『1968年2月12日、ベトナムフォンニィ・フォンニャット村で青龍部隊が作戦を展開して、70人以上の民間人が死亡した。2016年に国情院に当該資料を公開するよう情報公開請求を行った』とし、『昨年7月に裁判所が関連文書を公開するように判決を下したが、国情院は依然として公開を拒否している。公開拒否の論理として〈ベトナムの被害者が告訴する際の韓国政府の対応戦略がまだない〉という理由を挙げている。被害者の観点の論理はない』と述べた」(引用者注:ここでは、参加者がわずか40人余だったこと、公娼の一種であった慰安婦と外国での民間人虐殺を同列化していること、この問題では韓国行政は韓国司法府の判決を尊重していないことは問わないでおこう)。

 

 ともあれ、韓国には「書簡」が送られた!

 「ヒューマン・ライツ・ウォッチ北朝鮮における人道に対する罪を止める国際的な連合(ICNK)、国際アムネスティなど22カ国で活動する67の非政府組織(NGO)が16日、文在寅・韓国大統領に書簡を送り『韓国政府は北朝鮮における深刻な人権問題改善に向け積極的に努力すべきだ』という趣旨の公開書簡を送った。書簡には67団体のほかトマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告官やイ・ヤンヒミャンマー特別報告官、国連北朝鮮人権報告官を務めたマルズキ・ダルスマン氏ら10人も名前を連ねていた。

 国際人権団体が人権弁護士出身の文大統領に対し、北朝鮮の人権問題改善に乗り出すよう求めた形だ。

 書簡は、韓国政府が先月7日に北朝鮮漁船乗組員二人を北朝鮮に強制送還した問題を取り上げ『大韓民国は送還の際、拷問を受ける恐れが強く認められる場合にはその人物を保護し正当な手続きを提供する義務を持つ国だ』『(韓国政府が)北朝鮮漁船乗組員の送還を行ったことに懸念を表明する』などと明記されていた。さらに『韓国政府は北朝鮮漁船乗組員強制送還事件の真相を解明し、その結果を公表すべきだ』『北朝鮮住民の基本権を侵害した政府関係者に責任を追及しなければならない』などとも主張した。

 さらに韓国政府が先月14日、国連の第3委員会で採択された北朝鮮人権決議案の共同提案国に参加しなかったことについて『南北対話の見返りに北朝鮮政権の違法行為から顔を背けているという間違った印象を与えている』とも書簡では指摘されている。

 書簡には『北朝鮮の脅迫に屈し沈黙する行為は、北朝鮮の人権問題解決に何のプラスにもならないだろう』『北朝鮮の人権問題解決を求める国際社会の一貫して断固としたメッセージを北朝鮮政権に送り続けてこそ、長期的に北朝鮮の人権問題を解決に向かわせることができるだろう』などとも記載されている」(2019/12/17)。

 

 へたくそなマヌーバー・融和姿勢が、役に立ったためしはない。日本政府は、「人権問題解決を求める国際社会の一貫して断固としたメッセージを北朝鮮政権に送り続けてこそ、長期的に北朝鮮の人権問題を解決に向かわせることができる」ことを、忘れてはならない。