断章161

 群雄割拠・弱肉強食の国際(軍事)情勢も日々刻々と変化する。

 「中国外務省の趙立堅・副報道局長は5月11日の定例記者会見で、『日本の漁船が中国の領海内で違法操業していた』と主張し、日本側に抗議したことを明らかにした。

 趙氏は、中国海警局の船による日本漁船の追尾を認めた(引用者:!!)上で『操業の停止と、関連する海域からの退去を要求し、日本の海上保安庁による違法な妨害に断固として対処した』と説明。『釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土であり、日本側に、この問題で新たな事件の発端を生み出さないよう求める』と述べた。

 また、中国が周辺海域で違法操業の取り締まりを一方的に強める動きには、ベトナム外務省も8日に抗議声明を出したが、趙氏は『中国には南シナ海に関する主権と管轄権がある。ベトナム側に口出しする権利はない』と主張した」(2020/05/11 毎日新聞)。

 

 「6月15日夜にヒマラヤ山脈の標高約4300メートルの国境付近で発生したインド・中国両軍の衝突では、4時間余りにわたって兵士が素手で殴り合い、石を投げ、有刺鉄線を巻きつけたこん棒で攻撃した。インド当局によると、両軍兵士の一部が混乱の中で崖から川に転落。少なくとも20人のインド兵が死亡した。

 インドによると、中国側にも死傷者が出ている。係争地域における中印の衝突で死者が出るのは約50年ぶり」(20202/6/18 ウォールストリートジャーナル)。

 

 「過去数十年間、台湾は中国の巨大な人民解放軍(PLA)にその数と武器装備の面で劣勢に置かれてきた。その上、欧米諸国が中国の憤怒を招くことを恐れ、台湾に高性能兵器システムを売ることに一層慎重になっていることで、この軍事的不均衡はさらに広がってきた。そのため台湾はミサイルや潜水艦、6月22日に公開した新型高等練習機(引用者注:初公開飛行の式典には、蔡 英文総統が出席し、『きょうは中華民国空軍にとって特別な日であり、自国の航空宇宙産業にとっても重要な出来事』と評価した)などの兵器の自主開発を余儀なくされている」(2020/6/22 AFPBB News)。

 

 当然、中国は、「先んずれば人を制す」と、軍民一体で前進中である。

 例えば、「シルクロードのオアシス都市として栄えた中国の新疆ウイグル自治区コルラ。5月末、巨大なゴルフボールに似た真っ白な施設が出現した。表面に書かれた文字は『GEESPACE 時空道宇科技』。中国の民営自動車最大手、浙江吉利控股集団傘下で宇宙関連事業を手掛ける企業の施設だ。人工衛星から信号を受け取り、衛星を遠隔操作する役割を負う。

 『地球に根を張ると同時に、広大な宇宙に目を向けなければいけない』。そんな考えを持つ吉利の董事長、李書福の狙いと、米国に対抗できる『宇宙強国』をめざす国家主席習近平の野望が重なって生まれた施設だ。

 実は2人の関係は20年近く前までさかのぼる。習近平が2002年から浙江省トップなどを務めた際に地元の有力企業を経営する李と知り合い、酌み交わす仲となった。李がスウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーの買収や独ダイムラーの株の買い占めに動いた時も、習が全面的に支援したからこそ実現できた。単なる『自動車大国』から脱皮して世界をリードする『自動車強国』をめざす習の構想を、李が『紅(あか)い企業家』として体現してきた面もある。

 そんな2人が次の目標に定めたのが『宇宙強国』だ。自動車で成功して宇宙に歩みを進めたことから『中国版イーロン・マスク』とも呼ばれるようになった李。今年中に低軌道の人工衛星を打ち上げる。衛星を通じた高精度カーナビの提供で自動運転技術の実用化を加速し、世界全体をカバーするネット網を張り巡らす構想を描く。

 習近平も支援に動く。新型コロナウイルスで低迷した経済のテコ入れ策として、次世代通信規格『5G』など『新しいインフラ建設』を打ち出したが、4月20日に『人工衛星を利用したネット網構築』を対象に加え、宇宙分野に参入した100社近くの民営企業に商機を与えた。さらに、習近平が旗を振る軍民の技術を融合させることで双方の競争力を高める『軍民融合』戦略を宇宙分野で加速する。

 『政府と軍の協力や支援は想像をはるかに超えていた』。19年に民間企業として初めてロケットによる衛星打ち上げに成功した北京星際栄耀空間科技。経営トップの彭小波は中国メディアに語った。米中のハイテクの覇権争いが激化する中、中国は民間活力を最大限に利用する軍民融合で『2030年の宇宙強国』の実現を狙う」(2020/6/23 日本経済新聞)。

 

 ところが、わが日本では、中国・韓国にベッタリの自称「知識人」リベラルたちが、「軍民一体の技術開発などトンデモナイ」と騒ぎ立て妨害行為に余念がない。なので、この分野でも、日本は中国・韓国に立ち遅れてしまうのである。