断章299

 亡母の実家のとっくに80歳を過ぎた叔父が、今もなお、米を送ってくれる。ありがたいことである。なので、米はある。だから、タマネギ、ジャガイモ、ニンジン、そしてキャベツがあればよい。一日目は安い牛切り落とし肉を加えてカレーにし、二日目は余ったウインナーを入れてポトフにし、三日目は残りものの豚コマ肉を入れて肉じゃがにし、四日目は味噌を入れて具沢山の味噌汁にする。倹約する。そしてチャリンと500円玉貯金をする。それが、「はてなブログPRO」を維持する原資になる。それが、ネットの「日本の古本屋」で本を買う元手になる(図書館に行きたいがコロナが怖い)。

 

 橘 玲は言う。「私はこれまで、『人生100年』の時代には、生涯現役(生涯共働き)以外に人生設計の最適戦略はないと繰り返し述べてきた。日本の経済格差は今後、この大きな変化に適応できるかどうかで、『老老格差』として顕在化してくるだろう。ほとんどの予測は『当たるも八卦、当たらぬも八卦』だが、これはそのなかでは数少ない『確実にやってくる未来』になるはずだ」(2021/01/08)。

 下級国民のわたしの暮らしは、楽ではない。しかし、「マネープランクリニック」を見れば、相変わらず、「50代、母子家庭で頑張って働き、もう心身ともに疲れました」といった相談が多いことに気づくのである。且つ、もし彼女の職場が外食産業だとすれば・・・。

 

 しかもそれだけではない。

 「NY大学のヌリエル・ルービニ教授は『2020年代に訪れる大不況』というレポートで、『経済のより広範なレベルがデジタルの影響を受ける。何百万人もの人々が職を失ったり、収入を減らしたりするなか、貧富の格差はさらに拡大するだろう。将来のサプライチェーンショックを防ぐために、先進国の企業は低コスト地域から高コストの国内市場に生産を戻す。しかし、この傾向は、国内の労働者を助けるのではなく、自動化・AI化をさらに加速させ、賃金に下押し圧力をかけ、ポピュリズムナショナリズム、排外主義の炎をさらにあおるだろう』と述べている」(石原 順)。