断章421

 国際条約や国連決議など歯牙にもかけない国がある。世界は戦場である。隣国・ロシアは国益のためには戦争を躊躇しない国であると、銘記しなければならない。

 旧弊(昔からの悪い思想や制度、習慣など)に甘んじないで、〈国益〉〈国防〉のための新たな一歩を踏み出さなければ、次代に日本は無い。国防意識を毀損(きそん)する“空想的平和主義”には、「Say goodbye」である。

 

 

 大ロシア民族主義権威主義体制国家・ロシアでは、暗黒皇帝・スターリンKGBソビエト社会主義共和国連邦の情報機関・秘密警察)の血を引くプーチン大統領が、現代のピョートル大帝よろしく君臨する。そして、限りない資源と従順な国民を利用して21世紀の“帝国”を作ろうとしている。

 

 「ロシア連邦チェチェン共和国ラムザン・カディロフ首長は、3月21日、ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部のマリウポリに到着したチェチェン共和国兵士の映像をSNSに投稿した。

 映像に添えて投稿されたテキストには『部隊は直接町を攻撃し、地区ごとに解放している』と記されており、『われわれは間もなくマリウポリウクライナから完全に解放するであろう』と主張した」(2022/03/22 AP通信)。

 

 先頃、ロシア・ソ連史を専門とする東北大東北アジア研究センターの寺山恭輔教授は、「現在、大きなメディアは全てプーチン政権の支配下にある。ロシアでは毎日のように夕方ごろから体制寄りの討論番組が放送される。大多数の国民は政権のプロパガンダしか見ることができない。間もなく自由なインターネットも遮断されるだろう」と言ったが、そうなった。

 デマとプロパガンダが振りまかれている。ラムザン・カディロフ首長たちは、“主観的には”、ネオナチのウクライナの“解放軍”のつもりでいるのだ。

 

【参考】

 ポーランド国境にほど近い、ウクライナ西部の街に入ったジャーナリストの佐藤和孝さん。これまでもアフガニスタンボスニアなど様々な紛争地で取材を行ってきた佐藤さんに、AERAはインタビュー。

 「リビウで町工場の若社長として働く30歳の青年がいました。その青年には7歳と3歳の子どもがいる。あなたも銃を持って戦争に行くのかと問いかけると、『行きたい』と答えた。

 でも、これまでに戦ったことのない青年です。恐怖について聞くと、『そりゃ怖い』と。『でも、自分が死ぬよりも怖いのは、この国が消滅すること』『だから戦う』と言った。日本のどこかの評論家だかで、『ウクライナは白旗をあげたらいい』と言った人がいるんでしょう。大馬鹿者ですよ。だったらウクライナに来て、みんなにそう言いなさいと思う。自分の国、文化や歴史がなくなるんですよ。安全圏で何もわかっていない、命を懸けたこともない人がこれから命を懸けようとしている人たちに向かって言える言葉じゃない。この国はロシアに踏みにじられてきました。ソ連崩壊でようやく独立国家になったのに、またそのときに戻ってしまう。そうならないために血を流すことを彼らは厭わない。ゼレンスキーも含め、名もない人たちの気概がこの国を勇気づけているんです。なのに、『10年後にはプーチンが死んでいるだろうから、その後、国に帰ったらいい』なんて馬鹿なことを言っている。

 このままだと、10年でこの国はなくなるんです。腹の底から怒りを覚えます」(2022/03/13 AEREdot)。

 

【参考】

 「国際司法裁判所(ICJ)は、16日、ロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置を出した。法的拘束力のある決定だが、ロシアはそもそもICJには管轄権がないと主張しており、武力行使を停止する可能性は低い。

 ロシアの侵攻が始まった直後の2月26日にウクライナがICJに提訴していた。ロシアは、親ロシア派が支配するウクライナ東部でジェノサイド(集団殺害)が起きていることを武力侵攻の理由にしているが、ICJは、これを否定するウクライナ側の主張を認めた。また、両国に対し、事態の解決をより困難にする行動をとらないようにも命じた」(2022/03/17 朝日新聞デジタル)。

 

 「国連総会(193カ国)は24日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる緊急特別会合で、深刻化する人道危機を『ロシアによる敵対行為の悲惨な結果』として遺憾の意を表明し、民間人保護などを求める米欧主導の人道決議案を140カ国の賛成多数で採択した。ロシアなど5カ国が反対し、中国やインドなど38カ国が棄権した。

 今回のウクライナ侵攻を受けた国連総会決議の採択は、2日のロシア非難決議に続き2回目。安保理決議と異なり法的拘束力はないが、141カ国が賛成した前回と同程度の支持が集まり、ロシアの国際的孤立を改めて浮き彫りにした。

 強い賛同を示す共同提案国は、日本を含む90カ国に上った。採決では、前回棄権したバングラデシュイラクなど4カ国が賛成に回ったが、ブルネイソマリアなど5カ国が、賛成から棄権や無投票となった。反対は前回と同じロシア、ベラルーシ北朝鮮、シリア、エリトリアだった」(2022/03/25 時事通信)。