断章440

 「ロシアの侵攻を受けているウクライナ義勇兵として戦った元英陸軍兵士が、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部で戦死した。遺族が公表した。

 死亡したのは、3月に英陸軍を除隊しウクライナへ渡ったジョーダン・ギャトリー氏。このところ激戦が続くウクライナ東部セヴェロドネツクで、戦闘中に死亡した。父親のディーン・ギャトリー氏は、『息子のチームは私たちと同様に、みんな息子のことを愛していたと言っている。息子は兵士としての任務だけでなく、ウクライナ軍を訓練することで、大勢の生活にとてつもなく大きく貢献した』『息子は本当に英雄だ。永遠に私たちの心の中に残る』とソーシャルメディアに書いた。ジョーダン氏は『慎重に検討した上で』、大勢を助けるためにウクライナに渡ったのだという。父ディーン氏はフェイスブックへの投稿で、息子が地元部隊の訓練を手伝っていたと明かした。さらに、セヴェロドネツクを防衛する最前線で息子が撃たれて死亡したと、10日に知らされたと付け加えた。

 BBCの取材で、ギャトリー氏はかつてスコットランドエディンバラ拠点の陸軍ライフルズ連隊第3大隊にライフル銃兵として所属し、今年3月に除隊した後、ウクライナ渡航したことが分かった。英外務省は『ウクライナで亡くなったイギリス人男性の家族を支援している』としている。ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ジョーダン・ギャトリー氏は『真の英雄』だとツイート。『ウクライナと自由な世界を守るために彼が貢献してくれたことを、我々はこれからもずっと忘れない』と書いた」(2022/06/13 BBC NEWSを再構成)。

 

 彼もまた今は、生きている人間たちの彼の死に対する論評を超えて、「“青空と雲”だけに属している」(三島 由紀夫)。

 

 ロイター通信が、「人気ロックバンド『U2』のボーカルのボノさんらが8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)の地下鉄駅で電撃ライブを開催した。ボノさんは『ウクライナ国民は自身のためだけでなく、自由を愛する全ての人々のために戦っている』とたたえ、ロシア軍の侵攻に抵抗を続ける国民を激励した。地元メディアが報じた。

 社会活動家としても知られるボノさんはメンバーのジ・エッジさんらと共に、避難用シェルターとしても利用される地下鉄駅で代表作の『ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー♪』などを熱唱。集まった市民らから拍手と歓声が上がった。

 ボノさんは『今晩もウクライナの空に銃声が響くだろう。でもあなたたちは最後に自由になる。彼ら(ロシア軍)はあなたたちの命を奪うことができても、誇りまで奪うことはできない』と訴えた」と報じたのは、5月9日のことだった。

 熾烈な戦いはつづいている。ウクライナは、第二の、第三の、第四の、“七人の侍”を必要としている。