断章284

 「日本共産党は、2020年1月28日、第28回党大会で党綱領を改訂した。党綱領改定は実に16年ぶりの出来事であった。この中で、従来日本共産党は中国を『社会主義をめざす新しい探究が開始された国』としていたがこの部分を削除し、『いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流となっている』と挿入して中国共産党への批判を強めた。

 この中国認識の転換の理由として、日本共産党は東・南シナ海における中国の覇権主義的行動のエスカレート、香港における人権侵害およびウイグル自治区における人権弾圧をあげた。〈中略〉

 ―― 我が党は1960年代以降、ソ連と中国という『社会主義』を名乗る2つの国からの激しい覇権主義的な干渉攻撃を受け、それを断固として拒否し、自主独立の路線を守り、発展させてきました。ソ連によるチェコスロバキアアフガニスタン侵略などを厳しく批判する闘いを展開した。中国指導部による『文化大革命』や『天安門事件』などの民主主義抑圧の暴圧に対しても、最も厳しい批判を行ってきました。今回の綱領一部改定案は、中国に現れた大国主義、覇権主義、人権侵害を深く分析し、『社会主義を目指す新しい探求を開始』した国とみなす根拠はもはやない、という判断を行いました。

 中国の党は『社会主義』『共産党』を名乗っていますが、その大国主義、覇権主義、人権侵害の行動は『社会主義』とは無縁であり、『共産党』の名に値しません。中国に現れた大国主義・覇権主義は世界にとってもはや座視するわけにはいかない重大性を持っています。にも拘らず、その誤りに対する国際的な批判が全体として弱い。特に日本政府は全く弱く、追従的である ―― 日本共産党・志位委員長」。

 

 上記を、「徹底的な中国共産党批判」だと評価する者は、共産党の“言葉”に眩惑(ゲンワク)されてカモられた者たちであるか、あるいは共産党にすり寄る者たちである ―― 眩惑とは、「目がくらんで、まどうこと。目をくらまし、まどわすこと」。

 

 なぜなら、それは上記の一部を見るだけでも明らかである。例えば、上記中にある「天安門事件」である。それは、1989年に中華人民共和国北京市にある天安門広場民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、軍隊が武力行使して多数の死傷者を出したことである。

 「天安門」当時、中国共産党の表向きトップ(本当のボスは、鄧 小平)だった趙 紫陽は、事件後すべての職を解任され、以降16年間にわたって自宅軟禁され、2005年に死去した。

 自宅軟禁中に思索を重ねた趙紫陽は、以下を語ったと伝わっている。

 「現在の社会に現れているあらゆる悪弊は、鄧 小平が経済分野では改革・開放を主張しながら、政治分野では高度集権を堅持しようとしたところに端を発している」。

 「中国で現在発展しているのは、まさに官僚資本主義だ。政府が土地を囲い込み、民衆から土地を取り上げ・・・地価を安く設定してディベロッパーに大量に払い下げ、今度は高値で売る。被害にあった庶民が、焼身自殺する事件が何件も起きている。株も操作され、買い占められている」。

 「工場のマネージャーと(党)書記が利益を得る一方、国営企業は株式を売り、大量の富が彼ら権威者の懐に入る。かつては・・・土地も値打ちがなかった。だが、市場化されると土地の価格は高騰し、その利益は少数の人間に持っていかれる」。

 「中国における腐敗は・・・制度的な問題だ。資本主義国家でも腐敗は起きているものの、私有制のもとでは好き放題に財産を掠め取ることなどできないし、言論の自由のもとでオープンな監視にさらすことができる。中国では手中の権力を利用し・・・公然と国有財産を横領している」(『趙 紫陽』ビジネス社刊・2008年)。

 

 肝心なことは、日本共産党は、この恐るべき「人権弾圧・侵害」の「天安門」後でも、中国を「社会主義をめざす新しい探究が開始された国」と党綱領で賞賛し続けてきたという“事実”である。

 

 そもそも、中国共産党日本共産党は、共に、人民を幸せにする ―― 共産主義という地上の楽園を実現する ―― という甘い言葉で“赤頭巾ちゃん”(人民)をだまして、お家に入るや赤頭巾ちゃんを食ってしまう、赤頭巾をかぶった“人食いオオカミ”(全体主義)である。

 日本共産党は、これまでもしばしば中国共産党と“対立”した。しかし、日本共産党中国共産党は、同じマルクス主義スターリン主義)教会のドクトリンの下に生まれ、かつては兄弟党だと言っていた仲である。だから双方の“対立”は、結局、なしくずしに修復され、揉めても揉めてもヨリを戻してきた。例えば、大事な「党綱領」で、「社会主義をめざす新しい探究が開始された国」と、中国を高く評価してきたのである。

 

 では、なぜ、今になっての「綱領改定」であり、改めましての“中国批判”なのか?

 

 その理由のひとつ目は、まだこれから甘く優しい“言葉”で赤頭巾ちゃん(日本の民草)をだまして、お家に入れてもらう(権力が欲しい)立場にある日本共産党にとって、中国共産党が、鄧 小平の教えである「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能・爪を隠して、内に力を蓄える)を守っているうちは好都合だったが、ここ最近の、習 近平・中国共産党の尊大であつかましく、目をぎらつかせ、赤い舌で舌なめずりをし、牙をむき出しに行動する “人食いオオカミ”まるだしの振る舞いは、大迷惑で腹立たしいものになったからである。日本共産党は、「そんなやり方では、共産党とは、赤頭巾をかぶった“人食いオオカミ”だという正体がばれてしまう。いい加減にしろ」と怒っているのである。

 

 その理由のふたつ目は、「文化大革命」の頃のように中国共産党と口汚くののしる関係に陥って、昔のこと ―― 例えば、「1951年1月には中国共産党中央対外連絡部が、急ぎ創建された。初代部長には初代駐ソ大使を務めた王稼祥が任命された。王はソ連に長く留学した知識人で、『毛沢東思想』の最初の提唱者でもあり、毛沢東の党内主導権の確立に大きな貢献があった。

 中連部の設立には日本が深く関わっている。この頃日本共産党では、中ソ両共産党が推す武装闘争路線の採用の是非をめぐって内部闘争が起き、書記長の徳田球一を含む親中派幹部が中国共産党に介入を要請し、極秘訪中を決めた。中連部は彼らの受け入れにあたる組織としてまず設立され、その敷地内に日本共産党幹部の宿舎も建設される。ほどなく、日本共産党武装闘争を唱える『51年綱領』を採択し、農村部を中心に火炎瓶闘争を始め、日本の国会で議席の多くを失った」(『中国の行動原理』益尾 知佐子) ―― を持ち出されても、「そんな昔のこと、もう“時効”だよね」と言えると思ったからである。

 

 これが、今になっての、日本共産党による中国共産党“批判”の《本質》であり《真実》である。

断章283

 「ロイターの集計によると、新型コロナウイルスの感染者は世界全体で1億1278万人を超え、死者は260万5848人となった。

2019年12月に中国で最初の症例が確認されて以来、210を超える国・地域で感染が報告されている」(2021/02/25 ロイター通信)。

 

 さらに厄介なこともある。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るうなか、あらゆる薬剤に耐性を持つこともあるスーパー(超多剤)耐性菌『カンジダ・アウリス(カンジダ・オーリスとも)』の感染が一部で拡大していると、医師たちが警鐘を鳴らしている。カンジダ・アウリスは特に院内感染で広がりやすく、今年(2020年)はコロナ患者であふれる医療現場に大きな負担がかかっているためだ。

 カンジダ・アウリスは、シーツ、ベッドの手すり、ドア、医療器具などに付着して長時間生存し、そこに人の手が触れると感染が広がる。また、カテーテルや人工呼吸器、流動食など、体内へ管を挿入するときに感染するリスクが高い。コロナで入院した患者は、呼吸器系がやられるため、こうした措置を受ける機会も多い。

 『残念なことに、一部の地域でカンジダ・アウリスが拡大しています』と、米疾病対策センター(CDC)の真菌症部長トム・チラー氏は言う。『救急病院やコロナ病棟にまで広がっているところもあります。いったん感染が発覚すると、完全に取り除くのが難しいので、非常に心配です』。

 カンジダ属の真菌は、もともと舌や性器に白い斑点ができる程度の軽い症状を引き起こすことで知られていた。ところが、カンジダ・アウリスは09年に帝京大学の槇村浩一教授らが初めて報告してから、少なくとも40カ国で報告され、数千人の感染者が出ている。日本型の病原性は低いものの、致死率が30~60%に上るタイプもある。

 薬剤に耐性を持つ菌は、カンジダ・アウリスだけではない。既に世界では、数百万人が様々なスーパー耐性菌に感染しており、カンジダ・アウリスの感染拡大はその危機をさらに悪化させる恐れがある。19年、CDCはカンジダ・アウリスを米国の薬剤耐性菌のなかでも最大級の脅威と位置付けた。今年は8月末までに、米国内で1364件の感染が確認されている。18年全体の感染者数と比較して4倍強だ。〈中略〉

 2019年、世界保健機関(WHO)は薬剤耐性菌を人類の健康に影響を与える10大脅威のひとつに挙げ、今や簡単に治療できるようになった結核や淋病すらも制御できない世界へ逆戻りしてしまうのではとの懸念を示した。世界的に家畜や人間の医療現場で抗菌薬を乱用したことが、スーパー耐性菌を誕生させたといわれている。だが、ワシントン特別区にある疾病動態経済政策センター(CDDEP)の設立者で代表者のラマナン・ラクスミナラヤン氏は、気候変動によって真菌感染症が将来さらに拡大するだろうと予測している。〈中略〉

 『抗生物質が効かない細菌が増えているように、抗菌薬が効かない真菌も人類を脅かすようになるかもしれません』とラクスミナラヤン氏は警告する。多剤耐性結核菌や、北米を中心に症例が急激に増えているクロストリディオイデス・ディフィシルなどの強力な細菌は、米国で年間280万件というスーパー耐性菌感染症の99%を占め、死者はおよそ3万5,000人に上る」(2020/11/23 日経ナショナル ジオグラフィックから引用・紹介)。

 

 そしていまだに、アフリカなどの後進国、例えば「アフリカ中部のコンゴ民主共和国で麻疹(はしか)が流行しており、今年に入ってこれまでに5,000人以上が死亡した。世界保健機関(WHO)が27日、明らかにした。この数は、同国におけるエボラ出血熱による死者数の2倍以上に当たるという。

 WHOの予防接種部門を統括するケイト・オブライエン氏はスイス・ジュネーブで記者らに対し、同国での麻疹の流行規模は『世界最大』であり、『われわれがこれまでに経験した中でも最大規模』だと述べた。

 WHOによると、同国で記録された症例数は11月17日の時点で25万270件。うち5,110人が死亡したという」(2019/11/29 AFP)。

 

 先進国といえども、麻疹(はしか)といえども、警戒を怠ってはならない。というのは、「風疹(三日はしか)は皆さんもご存じの通り、妊娠初期に妊婦さんが感染してしまうと胎児へウイルス感染が起こり、難聴や白内障、心疾患、発育遅延など先天性風疹症候群といわれる赤ちゃんが生まれる可能性があります。日本では2003年から2004年に局地的に風疹が流行し、つらいことに先天性風疹症候群と診断された赤ちゃんが10名もいました。

 報道機関や医師、患者会による啓蒙活動もあり、風疹と妊娠に関しては世間の理解も進み、妊娠前に抗体価を確認される女性も増えています。〈中略〉

 では、麻疹ですが、昨年末も沖縄や大阪で局地的な流行がありました。

 麻疹は非常に感染力が強く、風疹が飛沫感染(唾液のしぶきなどで感染する)するのに対し空気感染します。空気感染とは、感染者と同じ空間にいるだけで感染し、マスクなどでは予防できません。妊娠中に麻疹に感染すると、症状は重症化することが多く、また流・早産の頻度が上昇すると報告があります」(IVFなんばクリニック)。

 さまざまなパンデミックが連続する時代に備えよう。

断章282

 「これほど絶え間なく、歩けば歩いたで、口を開けば開いたで、自分の運命を訴え、自分の屈辱を、自分の苦悩を、自分の受難を嘆いている民族は、世界中を探しても他にはいない」とは、さる国(日本ではない)で韓国について言われたことである。

 

 「『マルロマン』。韓国語で『言葉だけ』『口先ばかり』を意味する。韓国の保守層が文在寅ムン・ジェイン)大統領を批判する言葉で、最近の対日外交を評するときにも使われる。

 新年の記者会見で、日本企業や日本政府に賠償を命じた判決や裁判の手続きに懸念を示し日韓関係修復への意欲を力説してから40日近くたつが、目に見える新たな動きはない。

  19日、ソウルの青瓦台(韓国大統領府)で珍しい出来事があった。韓国メディアによると、文大統領は李洛淵代表ら革新系与党『共に民主党』指導部と懇談した席上、旧日本軍による従軍慰安婦問題について『当事者の意見を排除し、政府同士で合意するには困難がある』と述べ、『日本による心からの謝罪にかかっている』との認識を示した(引用者注:「心からの謝罪」をした後には、賠償(金銭)を求められることは世の常識である)。

 日本政府には受け入れがたい案だ。2015年の日韓政府間合意で、安倍晋三首相(当時)が『日本国内閣総理大臣として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からのおわびと反省の気持ちを表明する』(引用者注:この表明は明らかな誤りだった)と明らかにし、政府予算から10億円(引用者注:日本国民の血税である)を、韓国が設立した基金に拠出した経緯があるからだ。『政府の公式合意』『合意を土台に韓日間で解決策を協議したい』という新年会見での文氏の発言からも外れている。

 この話には続きがある。与党指導部との懇談会から何時間もたたずに大統領府の報道官が『韓日関係正常化の努力が発言の趣旨だった』と文氏の〝真意〟をメディア側に追加説明したという。青瓦台が『日本は心から謝罪すべきだ』から一転、『韓日関係は重要』に変わった背景について、複数の外交専門家は『対日外交のスタンスを整理できず、混乱している』『内政の課題に追われ、検討が後回しになっている』と話す ―― 引用者注:この外交専門家は、まるでシロウトである。日本向けと韓国国内向けを使い分けることは、韓国常套の二枚舌である。

 漂流する文政権のリトマス試験紙がまず3月1日に控える。日本統治下の1919年に起きた最大の抗日独立運動三・一運動』記念式典での演説だ。文氏がそこでも『心からの謝罪』を日本に求めるようなら元のもくあみになる。〈中略〉

 1月8日、ソウル中央地裁が日本政府に元慰安婦の女性12人への慰謝料支払いを命じた判決後、別の元慰安婦20人が日本政府に損害賠償を求めている訴訟の判決日程が1月13日から突如、延期された。その公判が3月24日、同じソウル中央地裁で弁論から再開する。

 原告には元慰安婦女性の象徴的存在である李容洙が含まれている。『日本からお金でなく事実認定と謝罪がほしい』と話している ―― 引用者注:事実認定と謝罪が行われれば、また鬼の首を取ったように世界中で「反日」の宣伝に利用するだろう ―― ことが、文氏の冒頭の発言につながった可能性もある。判決までには一定期間かかる見通しだが、今度こそは、主権国家は外国の裁判権に服さないとする『主権免除』の原則が認められるかが注目される(引用者注:韓国の司法への甘い幻想にすぎない)。原告の主張を全面的に認める判決が続き、文氏がそれを黙認するようなことになれば、『文政権下での関係改善はもはや無理』とのムードが日本を覆うのは避けられない。〈中略〉

 大統領の任期切れまで残り1年余りとなり、政権内で与党強硬派の影響力が急速に高まっているとの指摘がある。夏ごろには、与党内で次期大統領選の候補者が固まる。与党議員や官僚の視線は次の権力者に向かい、現職大統領の求心力は一気に落ちるのが常だ。歴史問題で日本に歩み寄ろうとしても『大統領選に不利になるからやめろ』と与党側から羽交い締めにされてしまう――。韓国の政治学者はこう分析する」(2021/02/26 日本経済新聞・峯岸博)。

 

 「慶北道のパク・ヨンソン議員が日本の歴史わい曲に対する強硬な対応を促した。パク議員は26日、開かれた第321回臨時会第1回本会議の5分自由発言を通じて『周辺国の歴史わい曲をめぐる葛藤は韓国や日本、中国の友好関係と未来を依然として遮っている』として『日本が歴史を歪曲しながらも独島(ドクト、日本名・竹島侵奪への野心を捨てられずにいる理由は大韓民国がいつか“対馬”の返還を主張することに備えた策略』と主張した。

 パク議員は『独島と“対馬”を明らかな韓国領土にするために“対馬島失地回復国民運動”の火種を慶北道が率先して蘇らせ、独島および対馬教育を強化するだろう』と促した」(2021/01/27 韓国・中央日報)。

 韓国には、大勢のパク・ヨンソンがいることを忘れてはいけない。

断章281

 「さまざまな学説から、もっともらしく思える部分をかき集め、五目メシ的に盛り合せて自分の理論をつくろうとする。こんなものは学問でも何でもない」(三浦 つとむ)。

 

 そう思う。恐ろしいほど無学なわたしである。でも大丈夫。低能・低学歴のネトウヨには、低能・低学歴のネトウヨとしての学びの道があるのだと腹をくくればよい。

 ベートーベンが、「歌い続けろ たとえ一人 声もしない 孤独の道ひた走ろうと 歌い続けろ」(♪ 上田 久美子)と言い、それが、わたしに「学び続けろ」と聞こえるあいだは、まだ大丈夫。

 

 「菅義偉首相は26日午前の衆議院予算委員会で、特別定額給付金の再支給は考えていないと強調した。新型コロナウイルスの感染拡大で生計の維持が難しくなっている個人に対しては、緊急小口支援などで対応していく方針を示した」(2021/01/26  ロイター通信)。

 

 藤田 孝典NPO法人ほっとプラス理事は、「社会福祉協議会の緊急小口資金貸付はあくまで貸付です。償還免除もあり、無利子、無担保で最大20万円まで借りることが可能です。引き続き、必要に応じて気軽に利用したい制度です。

 しかし、一般的に生活困窮や貧困対応は貸付ではなく、給付が原則です。諸外国でも生活困窮する国民に政府や自治体などの公的機関が貸付で対応する例は見...もっと見るられません。

 ましてや日本の生活保護制度は受給要件が厳しく、容易に受けられるわけではありません。それゆえに、給付金による一時給付も必要ですし、生活保護制度の受給要件緩和も必要です。

 両方とも実施しない対応は先進諸国ではあり得ない対応です。緊急事態宣言によるダメージは甚大であり、国民を路頭に迷わせる暴挙と言わざるを得ません」と言う。

 

 あるいは、「「米商務省が17日発表した1月の米小売売上高(季節調整済み)は前月比5.3%増と急回復した。伸び率は2020年6月以来の大きさで、市場予想(1.2%増)も大きく上回った。金額は5682億ドル(約60兆円)と過去最多を記録。政府の現金給付や株高を追い風に消費意欲が高まっている。〈中略〉

 政府の経済対策で1月に国民1人あたり600ドルの現金が給付された。米家計の1カ月の所得の約1割にあたる金額で消費意欲を後押しした。1月はダウ工業株30種平均が史上最高値を塗り替えており、富裕層を中心に含み益が拡大したことも影響したとみられる。

 バイデン政権は追加のコロナ対策で国民1人あたり1400ドルを給付する計画だ。1月半ば以降、コロナ感染は減少傾向に転じており、経済再開への期待も強まっている。エコノミストの間では『現金給付やサービス産業での再雇用によって個人の購買力は急回復する』との見方が増えている」(2021/02/18 日本経済新聞)のである。

 

 さしあたり現金給付が、さらに下級国民への“大減税”が必要である!

断章280

 「金だけ、今だけ、私だけ」という私的欲望を全面的に解き放つことで、“資本”は、恐るべき力を手にした。

 「ブルジョワ資本主義こそ、自由で平等で理想的な社会を自動的に実現するための手段として利潤を積極的に評価した、最初で唯一の社会的信条だった。ブルジョワ資本主義以前の信条では、私的な『利潤動機』は、社会的には有害なもの、あるいは少なくとも中立的なものとみなしていた」(P・ドラッカー)。

 

 「資本主義は、インセンティブ ―― 人々の意思決定や行動を変化させるような要因のこと。誘因とも呼ぶ ―― と、イノベーション ―― 物事の『新結合』『新機軸』『新しい切り口』『新しい活用法』のこと。新しいアイデアで社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する ―― を生み出し、生産性を上げ、資源を配分する素晴らしい方法だということがわかっている。すべての成功している国は、それを利用している。例えば、共産主義の中国は経済的には資本主義を選択したが、それはその成長に不可欠なものであった」(レイ・ダリオ)。

 

 この時代、この世界では、いかなる国も企業も、同じ品質ならより安く、同じ価格ならより良質の製品を大量生産するという《市場原理》(市場競争)を避けて通ることはできない。市場での競争に負ければ、国は衰退し、企業は倒産する。

 

 日本の「戦前の輸出製品は繊維などの軽工業に依存していたが、朝鮮戦争から始まった戦後産業は重化学工業にシフトした。重化学工業は高度成長経済を推進したが、そこには奇蹟的な幸運が幾重にも重なっていた。

 第1に、戦災によって灰燼となったため設備が新しかったこと。

 第2に、10年程度の産業の習熟度の手ごろさ。

 第3に、固定為替制の有利さ。

 第4に、開発コストを吸収するに適度な大きさの国内市場。

 第5に、圧倒的多数の若年労働者の存在である。

 最後の幸運はもう2度と現れることはあるまい。奇蹟そのものと言っていい」(井手 敏博)。

 

 そして、後発国の躍進に脅かされる現在の日本がある。そこにコロナ禍の襲来である。「400万人弱が働く飲食店の従事者は、サービス業の中で道路貨物運送業(204万人)や宿泊業(64万人)などに比べても多い。外食の雇用が悪化すれば、溢れた従業員はほかの業界に向かう。時短要請に応じる外食が持ちこたえられなければ、日本全体の雇用に及ぼす影響が大きくなる」(日経ビジネス)。

 

 しかもコロナ禍があろうとなかろうと、「テクノロジーの進歩は目覚ましく、その破壊的な威力で既存の業界をひとつまたひとつと崩壊させる。さまざまな形で集中が進み、より少ない土地からより多くの作物の収穫を、より少ない天然資源でより多くの消費を、より少ない工場でより高い生産性を、より少ない企業で売上と利益のアップを実現する。スーパースター企業の経営陣は莫大な富と収入を得る。中流層の収入はかなり減る。そして一部の労働者は困難に直面する。働いていた工場と農場が閉鎖され、新しい工場も農場もオープンしない。働き口は都市とサービス業に集中する。富と収入の不平等は大きくなる」(アンドリュー・マカフィー)。

 

 わたしたちは、21世紀の「富国強兵」に踏み出さなければならない。21世紀の日本を救うために、富裕層への時限的増税で財源を確保し、勤労大衆の“大減税”を実施すべきである(富裕層はすでに自己顕示的消費しかしていないが、下級国民には買い替えを我慢している物が沢山ある)、さらにエリート教育や実務教育(職業訓練)の内容を抜本的に刷新しなければならない。

断章279

 何が大変かと言えば、「少子高齢化」が大変なのである。日本、韓国、中国などのアジア諸国では、出生率が急低下している。

 たとえば、こんなルポがある。

 「不動産業者から、ソウルの格差を象徴する場所があると聞き、足を運んだ。

 高級住宅街が集まる江南区の外れにある九龍村。約1100世帯が暮らす住居の多くは、ベニヤ板で四方を囲み、シートで夜露をしのいでいる。屋根が吹き飛ばないよう石や古タイヤで重しがしてある。1980年代以降、事業に失敗したり、家族が離散したりした低所得者が身を寄せる。

 この地に暮らして約20年のチョンブナムさん(75)は、役員をしていた建設会社が95年に倒産し、九龍村に流れ着いた。妻と死別してからは長男(35)と2人暮らし。今も建設現場で働きながら食いつないでいる。無許可で建てた家が並ぶ一帯には、再開発の計画がある。鄭さんも市の担当者と立ち退き交渉をしている。『再開発住宅の権利をくれとは言わないが、移る家がないのに“出て行け”というのはおかしい』。村の背後には、ソウル有数の高級マンションがそびえ立つ。地上66階、約120平方メートルの中古で20億ウォン(約2億円)前後。財閥系企業が開発し、芸能人や大手企業幹部らが暮らす。

 『国内総生産GDP)は成長しているそうだが、私たちには関係のないことだ。格差が広がり、真ん中の層が薄くなった』。チョンさんの言う『真ん中』とは中間層のことだ。

 学歴偏重が教育費を高騰させ、少子化や高齢者の貧困を招く悪循環。女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、世界最低水準の0・98となり、衝撃を広げた。経済不安から子どもを持つことに慎重な家庭が増えている。

 チョンさんの長男も職こそあるが、生活は苦しく今も未婚だ。『政権が代わって、何かもたらされたことはない。期待もしないよ』。たそがれ時、夕日に照らされた超高層ビルの長い影が、貧しい村に伸びていた。

 韓国経済は、半導体スマートフォン市場でシェア世界一のサムスン電子など大手企業への依存度が高く、中小企業との待遇格差も日本より大きい。2018年9~12月の所得上位20%層の月収は平均932万ウォン(約93万円)で前年同期比10.4%増、逆に下位20%層は123万ウォン(約12万円)で同17.7%減となり、格差の拡大を数字が裏付けている。

 若い世代の経済不安が少子化の一因とされることから、文在寅政権は若者を採用する中小企業に補助金を出したり、新婚家庭向けに安価な住宅を提供したりしているが、効果は限定的。最低賃金の大幅な引き上げも『零細自営業者への直撃弾』(韓国メディア)となり、コンビニ店主の平均月収は17年の195万ウォン(約19万円)から、18年には130万ウォン(約13万円)まで低下したとの統計もある。

 高齢者の貧困は、1988年に国民年金制度が始まるなど、社会保障制度の整備が遅れたことも要因とされる。政府統計庁は『急速に進む高齢化の速度に韓国社会がまだ備えられていない状況』と警告している」(2019/4/24 西日本新聞)。

 

 そして、「コロナの影響で、日本の昨年の出生数は85万人を下まわった(!)。若者が減り高齢者が長生きするのだから、必然的に、人類史上未曾有の領域に入った日本の少子化と超高齢化はますます加速することになる」(橘 玲)。

断章278

 女性アイドルグループとして、AKB48、日向坂46、櫻坂46がある。それぞれ異なっているが、秋元康がプロデュースしている。

 “国家”も良く似ている。

 政治体制として、全体主義国家(たとえば中国)、新自由主義国家(たとえばアメリカ)、福祉国家(たとえばスウェーデン、ついでに日本)、寡頭専制国家(たとえばロシア)、神政国家(たとえばイラン)、マフィア国家や失敗国家もある。

 それら各国の経済的土台は、党君臨資本主義(中国)、金融・ハイテク資本主義(アメリカ)、介入規制資本主義(スウェーデン)、オリガルヒ資本主義(ロシア)、バザール資本主義(イラン)だったりと、それぞれ異なっているが、すべて“資本”がプロデュースしている。

 

 “資本”は、やり手で切れ者であるから、モテモテである。気にくわないからと玄関から追い出しても、いつの間にか勝手口から入って来て、リビングのソファーに主人顔で座っているのである。

 中国もそうだった。中国共産党は、銃口で権力を手に入れた後、しぶとく抵抗したけれども、結局、国民を食わせるために、「改革開放」を唱えて“資本”を受け入れたのである。そのおかげで、急速な経済発展(キャッチアップ)を実現できた。問題は、これからである。全体主義支配がもたらす疾患とともに、発展拡大した“資本”がもたらす疾患にも、ベトナムなどのキャッチアップにも悩まされるだろう。

 

 「中国共産党という組織が一見、社会主義につきまとう教条主義的な特性を持ち合わせているように見える反面、権力の維持という点において時に無節操とも呼べるほど柔軟に時代の変化に適合するという体質を示してきた。

 そもそも、社会主義社会の価値観を排し資本家を党に招き入れた江沢民の決断がそうであれば、再び不満を溜め込んだボリュームゾーンへの配慮から、『贅沢禁止令』を出して徹底した官僚狩りを断行したことも同様である。

 政治のニーズに合わせて経済発展に貢献するものを社会全体で称揚する時代から、今度は一気に発展から取り残された大衆を国の中心に据えて、彼らを慰撫する……。その変幻自在ぶりこそが、中国共産党支配が続いているひとつの特徴でもあるのだ。

 彼らが変化に敏感なのは、彼ら自身がきちんと危機感を持つことができているからにほかならない。前提となっているのは中国という大国には常に難題が山積し、この国をまとめてゆくことがそもそも容易ではないことを彼らがよく知っていて、また、かつ大衆を恐れているからである」(申し訳ないが筆者を忘れた)。

 

 「中国の人事社会保障省が2月8日に公表した統計によると、2020年に登録された出生数は前年より3割以上減少し、1004万人だった。出生数の減少は4年連続で、『一人っ子政策』撤廃がベビーブームにつながっていないことが示された。男女別内訳は男子が52.7%、女子が47.3%だった。

 中国は1970年代後半に人口抑制策の『一人っ子政策』を導入したが、急速な少子高齢化を背景に16年に撤廃、子どもを2人まで認める『二人っ子政策』に転換した。人口統計学者は、『二人っ子政策』の効果が表れるまでには15年かかる可能性もあると指摘している。一方、60歳以上の高齢者数は25年までに3億人を超えるとみられている」(2021/02/09 AFPBB News)。

 日本も大変だが、中国も大変なのである。