断章60

 人々は楽観的であり、物事は思っているより良くなることを願っている。しかし、願望や希望は、決して戦略ではない。

 

 「この先には英国のブレグジットや景気後退必至の日本の消費税が控えている。英国が10月31日に合意なき離脱となれば、相場はもたないだろう。ボリス・ジョンソン英首相が今週、ドイツとフランスを訪問して再交渉を迫る意向だが、EU欧州連合)は再交渉にいい顔をしていない。英国が合意なき離脱をすれば、それはグローバリゼーションの終りであり、不満の核心部分である移民受け入れも止まり、将来的にはEU解体への動きとなる可能性が高まる。」(2019/8/22 石原 順)

 

 CNBCが8月15日、レイ・ダリオ氏とのインタビューの内容を報じた。

 レイ・ダリオは、世界最大の債券マネージャーであり世界最大のヘッジファンド創立者である。彼の会社は、15兆円以上を運用している。

 「Q:世界的な成長に対するあなたの悲観的見通しの理由はどこにあるのか?

 ダリオ:4つの要素に焦点を当てている。

 まず、われわれは、短期的な債務サイクルの中にある、それはまたビジネスサイクルとも呼ばれる。過去にはこのように債務と支出が大きく膨らんだことはなかった。バランスシートから見れば、そんなことは不可能だと。したがって、減速が見られるだろう。同時に、年金および医療保険の債務はますます期限が近づいている、それは債務が期限を迎えるのと同じように債務と支出を圧迫する。

 第2に、私たちはまた、長期債務サイクルの後半にある。これは、以前に議論したボトルに残った中央銀行の刺激策が不足していることである。

 第3の要因は、選挙年における政治の二極化であり、これは主に社会主義と資本主義の衝突である。この衝突は伝統的に今日起きている相当な富、収入、機会の格差によるもので、それらはいずれも、資本市場と資本家にとっては良くない政治における大きな変化につながった。例えば、法人税率を引き下げて他の税金を引き上げたことや、あるいは、それはこうした変化につながらないかもしれないが、どちらのケースにおいても、次の景気後退期には裕福な資本家と貧しい社会主義者との衝突は醜いものになるだろう。

 第4の要因は地政学的リスクの増大である。特に中国が引き続き浮上し、多くの分野で米国のリーダーシップに挑戦している。この期間は、1930年代後半に最も類似しており、その時、米国も短期および長期の債務サイクルの終わりにあったため、金融政策には限りがあり、富の差は同様に広く、ポピュリズムが膨張し、英国と米国が世界に対して持っていた力はドイツと日本の新興勢力に挑戦されていた。これらの各要因―借用書が期日を迎えることによってもたらされる下落圧力、刺激する力のない中央銀行、大きな富と政治的な格差、強力な新興世界大国による世界の大国の挑戦、が困難な結果をもたらす。」(同前)

  

 半世紀後に、1960年代の宇野派経済学者、岩田 弘に再会したようである。

 世界恐慌→通貨の平価切り下げ競争→経済のブロック化(保護貿易主義)→アメリカやイギリスといった(当時の)「持てる国」に対抗するために「持たざる国」は、自己の「生存権」の確保をめざして死闘した(例えば、日本は「大東亜共栄圏」を構想したが、それはアジア市場に「円ブロック」を築くねらいであった)。

 帝国主義の不均等発展は、やがてまた1930年代的な貿易戦争、通貨戦争、ブロック化に再帰して出口のない死闘が始まる。「世界社会主義革命」の時代が来た(みたいな)。

 

 ところが、わたしたちは、もう知っている。

 「社会主義革命」は、「大企業、ついで小企業の国有化、そして強制的な農業集団化(農業生産物をより多く収奪するための)、高率の課税や価格の不平等など、いろんな方法を通じて私有財産を破壊して集団的所有形態を確立した。」

 「(赤い)特権官僚は、(集団的所有形態にある)これらの財貨を使用し、享楽し、分配する権利を通じて、国家の物財を自分たちの財産にしてしまったのである。」

 「それまでの革命とちがって、階級を廃絶するという名目で遂行された共産主義革命は、もっとも完全な権力をもつ単一の新しい階級を誕生させた。そのほかのあらゆることはごまかしであり、まぼろしである」(ミロバン・ジラス)ことを。

断章59

 8月14日「米ニューヨーク市場は、景気後退への懸念が高まったことから、大企業で構成するダウ平均が急落した。終値は前日比800.49ドル(3.05%)安い2万5479.42ドルで、今年最大の下げ幅となった。」(朝日新聞)「ブラックスワンを見た」、「灰色のサイの機嫌が悪そうだ」と、なにかと賑やかな金融界であるが、また肝を冷やしたのである。

 その後、3日連続で反発したが、毎日、切った張ったの金融鉄火場で、急落・急反発には慣れっこのはずの参加者も、これはもしかすると「デッド・キャット・バウンス」で、ここから大暴落になるかもしれないと不安げである。

 

 なにしろ、「ドイツ銀行は過去4年間、生き残りをかけて策を講じてきたがうまくいかなかった。それはデリバティブという簿外債務の問題が大きい。コメルツ銀行との合併交渉が破談に終わった現在、ドイツ銀行は先の見えない状況となっている。

 こうした大きな銀行が危なくなった時、通常は『大きすぎてつぶせない』という大義名分で公的資金を入れて救済する。問題は、メルケル独首相が(南欧危機で厳しい態度を取った手前)、『ドイツ銀行を救済しない』と言明していることである。

 先週の8月12日(金)にドイツ銀行は大商いとなり、通常の3倍出来高を記録している。運用者の間では大口の投資家が売却したとの噂が出ており、しばらく、ドイツ銀行の動きからは目が離せなくなってきた。」(石原 順)

 

 そんなところに、「欧州系格付け大手フィッチ・レーティングスは8月16日、アルゼンチンの国債の格付けを『B』から『トリプルC』に引き下げ、デフォルト(債務不履行)の可能性を警告した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も『B』から『Bマイナス』に引き下げた。

 フィッチは今回の格下げについて『政治の不確実性を反映したものだ』と指摘し、『デフォルトの可能性が高まっている』とした。

 11日の大統領選予備選挙で、市場経済や財政規律を重視する中道右派の現職マクリ大統領がポピュリズム的な中道左派候補に敗れ、10月の本選での再選が危うくなったことで市場の懸念が強まっている。

 アルゼンチン株式市場は12日、前週末から4割近く値下がりした。通貨ペソも対ドルで3割程度下落する場面があった。」(共同通信

 平家軍が富士川の合戦で水鳥の羽音に驚き慌てて逃げ去ったように、強欲金融資本の逃げ足も速いのである。

 

 そんな時に、「炭鉱のカナリア」まで鳴いたというのだ。

 「20世紀はアメリカの世紀として、『その100年でアメリカを象徴した会社を1社挙げよ』と言われれば、普通の人はGE(ジェネラル・エレクトリック)を挙げるだろう。GEはトーマス・エジソンに由来する。そしてそのエジソンパトロンだったJPモルガン本人にとっても、同社は帝国の要の一つであり、それはロックフェラーの時代になっても変わらなかった。

 そして1980年代にはジャック・ウエルチ会長の元で大改革に成功。その後もアメリカを代表する会社であり続けた。しかしそのGEも、ちょうど中国の台頭と前後するように衰退。そして昨年6月、ついにNYダウ工業平均の開設以来、110年間守り続けたダウ採用銘柄を外れた。

 そのGEが、偶然ではあるが8月15日、あのバーニー・マドフ元ナスダック会長の不正を暴いたハリー・マルコポロス氏によって、約4兆円の不正会計をしていると糾弾されたのだ。この額は、破たんしたエンロンを超える規模だ。

 この問題に結論が出るのは相当時間がかかるだろう。マドフ事件でも、当初マルコポロス氏の主張は全く相手にされなかった。それはそうだ。当時のマドフ氏はナスダックの会長をつとめた業界の重鎮。どちらを信用するかは明白だった。

 今回、GE側は、マルコポロス氏の糾弾を『ヘッジファンドから報酬をもらった人間の戯言』と否定している。同時にGEのラリー・カルプ会長は市場で自らの資金を投じて自己株買いを断行、健全性をアピールした。だが、マルコポロス氏はヘッジファンドとの関係も隠さず認めているのだから、本人は余程の証拠を握っているつもりなのだろう。(中略)

 市場では、直前までどれほど流動性があっても、信頼を失った瞬間に崩壊する。その意味で、GEというアメリカのシンボルに疑義が生じたことは、『炭鉱のカナリア』がついに鳴いたと考えている。」(2019/8/20東洋経済・滝澤 伯文)

 博打場では、「予想はウソヨ、予測はクソヨ」という。しかし、きな臭い。

 

【参考】

「灰色のサイ(グレーリノ)は、マーケット(市場)において、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにもかかわらず、軽視されがちな問題のことをいいます。これは、米国の作家・政策アナリストのミシェル・ウッカー氏が2013年1月に世界経済フォーラムダボス会議)で提起したもので、発生する確率が高い上に、影響も大きな潜在的リスクのことを指します。その語源は、草原に生息するサイは体が大きくて反応も遅く、普段はおとなしいですが、一旦暴走し始めると誰も手を付けられなくなること(爆発的な破壊力)に由来します。」(金融経済用語集)

 

「デッド・キャット・バウンスとは、長期的な下落相場の途中の少しばかりの反発という意味です。高い所から落とせば、死んでいる猫でも跳ね返る。でも、もうその猫は死んでいるのだから、どうせそのあともダメだよって意味です」(「中卒君が偉そうに世界経済について語るブログ」)

 

「炭鉱のカナリアは、何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆をいいます。 これは、有毒ガスが発生した場合、人間よりも先にカナリアが察知して鳴き声(さえずり)が止むことから、その昔、炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来するものです。」(金融経済用語集) 

断章58

 8月14日、神戸大の木村幹教授とジャーナリストの辺真一氏が、BS日テレの「深層NEWS」に出演した。

 慰安婦問題や韓国人元徴用工訴訟問題などをめぐって対立する日韓の歴史認識について、木村氏は「韓国政府は、日本側が本当に反省しているなら、誠意を見せるために謝罪すればよいという見方だ」と述べた。辺氏は「(韓国の)保守政権も徴用工の問題はこだわっていた。歴史問題については一切譲歩しないのが、保守政権も含めた歴代政権の立場だ」と分析した。

 

 あるブログ主は、「“漢口の奇跡”と言った大人の世代なら誰でも知っている事すら、日本人と韓国人の受け止め方が違ってきている。新日鉄三菱重工などの日本企業は韓国企業に技術援助などをして韓国の経済発展を助けたのですが、韓国ではそのようには教えられていない。

 韓国人にとっては事実を事実として受け入れられないから、ファンタジーの世界を作り上げて信じ込んでいるから、日本人との冷静な議論が成り立たない。1960年代から80年代の事ですら解釈の日韓のすれ違いがあるから、日本統治時代の事など事実認識すら一致するはずがない。

 2002年のワールドカップですら、日本の資金で競技場が作られた事を韓国人は知らないのだろう。知っている人は知っていても口に出しては言えないような状況があるのだろう。“漢口の奇跡”にしても当事者は知っているが、一般国民は自力による経済発展であると信じている。

 おかしいのは韓国の学界やマスコミであり、国内だけでしか通用しない歴史観を教え込んでいる。だから韓国の若い学生が海外留学して世界的に認められた歴史を知ると茫然自失してしまう。中には大学教授に猛烈に抗議する留学生もいるようですが、大きな声を出したからと言って史実は曲げられない。歴史の解釈は国によって異なるから歴史観まで統一することは出来ないが、史実はどうにも曲げられない。

 1997年のアジア金融危機においても日本は韓国を最後まで支えたのに、日本が原因で金融危機になったと韓国では教え込まれている。ここまでくれば日本と韓国の議論が噛み合わない事は明らかである」と言ったが、これはわたしの立場でもある。

 

 ナイーブな善意の人でありたい“日本市民”は、韓国に“加害した”という“贖罪意識”に囚われているから、例えば、姜尚中・東大名誉教授から「日本は歴史の前で謙虚にならなければならないと一喝」(2019/8/7『韓日関係、診断と解法』特別講演  ハンギョレ新聞)されたら、たちまち“謝罪と賠償”を語りだす。

 ところが、ナイーブな善意の人でありたい“日本市民”の“謝罪と賠償”とは、見返りを求めない“施し”と一緒であるから、むしろ受け取り側の心理の奥深いところに“屈辱感”“恨”を育むものなのである。それは問題を解決するよりは、逆に問題を拗(コジ)らせていくのである。(国連やNGOのアフリカや中東での終わりのない援助をみよ)。

 

 韓国で『反日』が燃え上がっている。第一の原因が、韓国がこれまで積み重ねてきた『反日捏造(ネツゾウ)教育』であるとすれば、第二の原因は、ナイーブな善意の人でありたい“日本市民”が韓国人の心理の奥深いところに育んだ“屈辱感”“恨”である。(「地獄への道は善意で舗装されている」のである)。

 

 1. 日本と韓国は、1965年、日韓基本条約を締結し、韓国は日本に対する戦争賠償の請求を放棄した。その代わり、日本は総額8億ドル(無償3億ドル、政府借款2億ドル、民間借款3億ドル)の支援をした。この額は当時の韓国の国家予算の2倍以上である(当時の日本の外貨準備高の半分に相当する巨額でもある)。

2. 浦項総合製鉄(ポスコ)創業者のパク・テジュンは、「パク・ジョンヒ大統領の製鉄立国執念と新日本製鉄・稲山会長の全幅的な支援がなければ、今日の浦項製鉄はなかったはずだ。 資金調達は、米国からの借款のために努力した。しかし駄目だった。 韓国の総合製鉄所は成功の可能性がない、ということだった。 それで考え出したのが、日本との国交正常化で受けた対日請求権資金だ。 さらに日本輸出入銀行から5000万ドルを借り、本格的な工事を始めることができた」と過去に語っている。

ポスコだけではない。ソウル大学病院の子ども病棟は日本が支援した。

「当時は未だ中小企業レベルであった現代グループも、船舶部門では三菱重工からエンジンの供給や船舶設計などの中核技術の指導を受け、アメリカの排出ガス規制をクリアできなかった自動車部門は、三菱自動車デボネア、デリカ、パジェロなど数多くの車種やプラットフォームを流用して、ポニーエクセル、ソナタ、アトスなどの車種を生産し、最高級車のグレンジャーも、当初はデボネアの韓国版であった。

一方、サムスンの依頼を受けて伊藤忠からも多くの幹部社員がサムスン本社に派遣され、組織の近代化に協力するなど、日本の大手各社がオールジャパン体制で韓国の重要産業の発展の手助けをした事実は、記録を調べれば直ぐ判る事である」(北村 隆司)

3. 日本の首相は繰り返し過去のことで頭を下げた。旧日本軍慰安婦に対して初めて謝罪した1993年「河野談話」。村山富市首相は95年に「戦後50周年特別談話」。小渕恵三首相は98年に「痛切な反省と心からお詫び」。小泉純一郎首相は2001年、ソデムン独立公園を訪れて頭を下げた(小泉首相が献花した追悼碑は公園整備名目でなくなった)。安倍晋三首相は2006年に国立顕忠院を参拝した。

4. 文在寅大統領は、「徴用被害者問題は1965年の韓日請求権協定で解決した」という見解を決めた2005年の盧武鉉政権時に、この決定を下した委員会に民政首席秘書官として参加していた。「盧武鉉政府は2005年に日韓協定文書を公開した後、元徴用被害者7万8000人に1人当り2000万ウォンの慰労金を支給した。」(韓国紙)

5. ところが、文政権は韓国大法院判決に対して、「三権分立の司法が決めたことだから」「経済交流と政治は別だから」「国民の権利行使の手続きに対して政府が介入してはならない」と、わざと手をこまねいてきた。日本が反発すれば、韓国内の文在寅支持が増えるのが狙いだ。

6. 韓国政府が認定した元徴用工被害者数は、総数21万8693人である。すでに判決の出た賠償額は、概ね一人当たり約1千万円である。予想される必要総額は、2兆円である。

7. 韓国が日本政府と日本企業を入れた1+1とか1+2の財団形式にこだわるのは、それを突破口として、さらに日本から大金を取ろうと目論んでいるからである。彼らは、金を受け取った後に又、「戦犯に時効は無い。永遠に謝罪しろ。もっと誠意をみせろ」と言うだろう。

 

【参考】(一部省略あり)

 韓国は徴用工の問題について、三権分立を建前に大統領が何もできないというが、ウイーン条約法条約では、国内法を理由に国際法上の義務から逃れることはできないことを規定している。最高裁判所であろうと、韓国の国内裁判所の決定が日本と韓国の間の国際協定を無効にすることはできない。

 日韓請求権協定第2条1項では、「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定されており、日韓での問題は周知の通り、解決済みの話である。これは歴代韓国政府も認めてきたところである。

 また、同協定はこの協定の解釈や実施に関する紛争は外交で解決し、解決しない場合は仲裁委員会の決定に服することが決められているが、仲裁委員会から逃げているのは文在寅政権であり、日本側にWTOでの紛争から逃げていると主張するのは甚だ身勝手だ。

 話を戻せば、日韓間に横たわる経済連携を阻害する要因は、そもそも徴用工裁判の結果を放置し、日本企業の韓国における投資保護が危険に晒されている状況を放置している文在寅政権の不作為である。日本の措置はそもそも経済制裁ではないし、仮に経済制裁であったとしても、韓国に対して「どの口が言うのか」という話である。

 日本の国際法遵守の表れとして、日本は国際司法裁判所強制管轄権受諾宣言を行っている。これは、日本が自国にとって都合が良くても悪くても、相手国が同じ宣言をしている限り、一方に提訴されたら必ず国際司法裁判所の裁判とその判決に従うという宣言だ。この宣言を韓国はしていない。

 一方、こうした日本の考え方と相容れないのが韓国側の「韓国は被害国であり、日本は加害国であるから、韓国は常に道徳的優位に立っている」という道義的、情緒的な正義の話である。「韓国の方が正しいのだから、日本に対しては何をしても許されるという正義が韓国にはある」と主張しているように、日本からは見える。

 しかし、正義とはそのとき、その状況によって移ろうものだ。どんな侵略戦争であっても正義を大義名分としなかった戦争はない。だから日本は正義ではなく法の遵守を旨としているのである。韓国では政権交代によって正義の基準が変わってしまう。法の解釈も政権によって異なってしまっているのが現状だ。

早稲田大学大学院経営管理研究科教授 長内 厚)

断章57

 東京の銀座や六本木の高級クラブには、通り過ぎた後につい振りむいて見てしまうような美人がいる(らしい)。彼女たちには、同伴というルール(というかシステム)が課せられている(らしい)。出勤前に、寿司が回っていない高級寿司店で、お金持ちと待ち合わせて食事をしてから、一緒にクラブに出勤する(らしい)。

 同伴者には、当然、スケベな下心をもつ輩(ヤカラ)もいるが、金と暇を持て余していて、高級車をみせびらかすのと同じように、連れている美人をみせびらかしたいだけの輩も多い(らしい)。クラブ嬢は同伴させることが利益になり、同伴者は同伴することで自己満足を得たのだ。

 

 ひと昔前、社会主義運動にも、多くの“同伴者”がいた。“同伴者文学”なんてものがあったくらいだ。

 この連中(進歩的文化人)は、次々と同伴する相手を変えた。なぜなら、スターリン嬢も、毛沢東嬢も、金日成嬢も、本命だった日本共産党嬢も、昼日中に近くでじっくり見てみたら、ひどい厚化粧の整形顔だったから失望したのである。中越戦争の際の談話で、「がっくりしました。社会主義に幻滅を感じさせる、これほど決定的なものはないでしょう」と言った菊地昌典(後に東京大学名誉教授になった)のように。

 

 その後、この同伴者たちのお仲間である自称「知識人」リベラルのお気に入りになったのが、“躍動する民主主義”を誇る韓国嬢である(とくにハンギョレ嬢とは相性バッチリ)。

 どれほど“躍動”しているかといえば・・・

 「ソウルの日本大使公邸前で8月7日、韓国の市民団体の代表が日本政府の一連の経済報復措置に対する抗議行動を起こした。韓国警察などによると、市民団体『愛国国民運動大連合』のオ・チョンド代表が午前5時20分ごろから1時間以上にわたり、ソウル市城北区にある日本大使公邸の正門前に乗用車を止めた。『われわれの敵国は日本だ、日本大使館と日本企業は出ていけ』と発言した。」(2019/8/7 韓国聯合ニュース) 

 日本の警視庁なら、15分で排除するだろう(ウイーン条約を守りなさい)。

 「韓国与党・共に民主党のチェ・ジェソン議員は8月5日、あるラジオ番組で『最近は東京で放射性物質が基準値の4倍以上検出されている』と発言した。」(2019/8/6 朝鮮日報

 いつも平気でウソをつく。

 「韓国・警察などでも反日運動が起こっている。京畿道華城の西部警察署発安地区隊所属の警察官たちはこの日、日本製品不買運動のスローガンが書かれたピケットを持って写真を撮影し、この写真を警察内部のネットワークを通じて公開した。世宗地方警察庁生活安全捜査課もこれに参加した。」(2019/8/3 朝鮮日報

 警察が・・・やれやれである。

 「7月末には、(韓国)革新系与党のシンクタンクが対日関係の悪化は来春の総選挙で与党に『肯定的影響を与える』と分析した文書の存在が判明。責任者は謝罪したが、政権の対日施策が世論を意識して強硬に傾く韓国政治の構造を印象付けた。」(西日本新聞) 

 さもありなんである。

 「韓国の若者に人気の高いインスタグラムでは最近、『#日本旅行』などを見つけ出し、フォローするアカウントが流行っている。アカウントには『日本旅行に行く売国奴をフォローするアカウント』『あなたをフォローします。おめでとうございます! あなたは売国奴です』などの紹介文が書いてあり、自分がフォローするアカウントに載せられた日本旅行の書き込みや写真を持ってきて嘲弄と蔑視を浴びせる。また、日本旅行に関する写真や書き込みを掲載した人へ“売国奴”“土着倭寇”“日本旅行に行って放射能料理をたくさん食べたか”などの嘲りや非難のコメントをぶつけている。」

 すごく躍動している(笑い)。

 

 ひと昔前の“同伴者”たちと同様に、今、韓国嬢と“同伴”している自称「知識人」リベラルも、失望し落胆する日が来るだろう。

断章56

 わたしは、年寄りである。なので、「月光仮面」の主題歌を終わりまで歌える。

 わたしは、貧乏である。だから、日々の食費を切り詰めて500円玉貯金をして、まれに一風堂のラーメン(Aセット付き)を食べに行くのである。

 わたしは、無名である。人目を気にしなくてよいから、お高い服を買わなくてよいのである。「ファッションセンターしまむら」よりお安い服でことたりるのである(但し、安い服は、ほつれたり毛玉ができやすい)。

 わたしは、ネトウヨである。なので、自称「知識人」リベラル(進歩的文化人)が嫌いである。彼らの「論法の特徴は、正面切っては反対しにくい事柄をふりかざして、それに少しでも異議を唱える者を居丈高に断罪することだ。断罪の言葉は、かつては『平和の敵』であったが、今は『人道の敵』『人権侵害者』となっている。そこには事実に基づいた冷静で客観的な議論など望むべくもない」(『悪魔祓いの戦後史』 副題・進歩的文化人の言論と責任)のである。そして、韓国の文在寅大統領は、彼らと瓜二つである。

 

 日本が貿易管理Aグループから韓国を除外したので、韓国・文在寅大統領は、「加害者である日本が居直って大口を叩く状況を決して座視しない」「盗人猛々しい」と言った。

 これに対して、日本の佐藤正久外務副大臣が8月2日のBSフジで、「『盗人たけだけしい』という品のない言葉まで使っているのは異常だ。日本に対して無礼だ」と述べたという。

 すると、「韓国外交部は3日、外交ルートを通じて日本側に強い遺憾を伝えるとともに抗議した。(中略)韓国外交部当局者は佐藤氏の発言について、『日本政府高官の発言とは思えないほど、国際的な礼儀と常識に合致しない』と批判した」(韓国・聯合ニュース)のである。

 しかしながら、このように日本語に訳されている文在寅発言のハングル「賊反荷杖」の意味は、実はもっとエグい、「悪事を働いた賊が、開き直って杖を振り上げ抵抗する」らしいのである(韓国の文国会議長がかつて謝罪を拒否した文脈でもこの言葉を使っていたということだ)。

 外交上の言葉としては、前例のない“欠礼”に間違いないのである。

 この言葉に、日本人を憎んでいることが透けて見える。

 

 黄 文雄は、『岡田 英弘 著作集』(2015年初版・藤原書店刊)の「月報・6」に書いた。

 「中華の史料、史説、史観からのみ中華世界、東亜世界を語るのは中国の文人だけでなく、日本の朱子学者、中国学者、東洋学者も変わりはない。

 江戸中期以来の国学者があれほど“漢意唐心”と“和魂和心”を分別する鋭い洞察力をもっていたのに、朱子学者が幻想を抱いていたのと同様に、戦後の中国学者が中華世界を“聖人の国”“道徳の国”“仁の国”そして“地上の楽園”と流布してきたことは、空想や妄想を超えて“犯罪”であり、罪を問うべきである。

 中華を中心とする世界観の中にあって、非漢字世界から中華・東亜世界を直視する岡田先生は、アジアにとってだけでなく、世界にとっても特別な存在である。」(前後を省略)

 

 この『岡田 英弘 著作集』第6巻に収載されている「韓国と台湾の対日感情」(1994年)から引用する。

 「韓国人が、日本を目の敵にして攻撃するのには、重大な理由がある。それは、韓国文化というものの実体がないからである。今の韓国文化と言われるものは、日本の文化の模倣にすぎない。だから、今でも韓国では日本語の歌をそのまま放送することや、日本の映画を放映することに、断固として反対している。日本からの文化の流入を自由化したとたんに、韓国文化が跡形もなく崩れ去ってしまう、という恐怖感にかられているからである(引用者注  ―― 韓国のテレビ放送において日本語の歌詞を放送することの禁止、日本のテレビ番組を放送することの禁止等がある。近年、徐々に制限を緩和しつつある)。そのことを韓国人に言うと、烈火のごとく怒るが、本当のことである。そういう点を、われわれは理解しなければならない。韓国人のアイデンティティというのは、日本人を憎むことしかないのである。」

 

【参考】

 「文在寅政権発足以降、日本政府に対する韓国政府の“外交的非礼”は目に余るほど頻繁ではないか。だが、それは今に始まったことではない。1995年には韓国政府との事前のすり合わせを経てアジア女性基金が設立され、内閣総理大臣の手紙と償い金が元慰安婦に送られた。韓国政府は当初はこれに『協力する』と評価していたが、慰安婦支援団体や韓国メディアからの反対があり、後にそれを覆す事態となった。

 日本に対してだけではない。韓国の外交的非礼といえば、『台湾との断交』を忘れるわけにはいかないだろう。韓国と台湾の国交が途絶えたのは、1992年8月のことだった。そのことを『外交的に非礼を極めている』と回想する人物A氏に、かつて台北で話を聞いたことがある。A氏には、政府の関係機関でそれなりの職位であったこと以外は身分を一切明かさないという条件で、インタビューに応じてもらった。

 A氏によると、そもそもかつての台韓関係は蜜月状態だった。両国はアメリカの同盟国のなかで共産主義国家に対峙する最前線であり、朝鮮戦争でも台湾は相応の犠牲を払ったこともあり、『両国は血で結ばれた兄弟のような存在だった』という。

 それが暗転したのは、韓国の一方的な断交による。通常、断交の通知は非公式には半年以上前に送られてくるもので、それが外交的な礼儀というものだと前置きしたうえで、『韓国だけは全く違った』と断言する。

 『韓国が大陸の中国と国交を結ぶかもしれないという報告を受けた台湾政府は、韓国政府に対して何度も確認をしましたが、韓国政府はその都度、断交を否定していました。そして突然、断交すると非公式に言い出すと、そのわずか5日後の23日には公式的に断交を通知してきたのです。それだけではない。韓国政府が私たちに命じたのは、台湾大使館員の24時間以内での国外退去と、72時間以内での物品・設備の撤収でした。断交通知の翌日、韓国は中国と国交を結んで、かつての台湾大使館を中国大使館にしてしまいます。こんなやり方をしたのは韓国だけです』(A氏)

 断交すらも直前までひた隠しにしていた過去のある韓国。これから日本に対してどんな“非礼”があったとしても、驚いてはいけない。」(2019/7/20  藤原 修平)

断章55

 韓国は、年初から強烈で深刻なPM2.5スモッグに悩まされた。季節が移るか、良い風が吹いて、なんとかならぬかと苦悩した。余りの酷さに、韓国メディアが「責任は中国にある」と叫んだら、中国メディアから一蹴された。

 「ソウルなどで発生しているスモッグが中国と全く関係ないとは言えない。しかし、韓国メディアが言うような50%以上、75%以上が中国からという話は、常識の域を逸脱している。だいいち、中国北部のスモッグはここ数年改善傾向にある。それなのにどうして韓国のスモッグはますます深刻化しているのか。まさか、北京のスモッグをみんなビニール袋に詰め込んで、ソウルの上空にバラまいているとでも言うつもりなのか」

 「韓国人は『アジアでもとりわけ民族感情の強い』国民で衝動的なところもあるので、世論がマスコミの情報に踊らされやすい傾向にある」と、論駁されたのである。

 

 3月、「中国が在韓米軍のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備に反発して出した“禁韓令”の一環で韓国への団体旅行を禁じてから2年が経過した。一部で再開されたものの、中国人観光客は戻っておらず、不振が続く。『中国人観光客が戻ってくれば道が開けそうだが、中国がこんな偏狭な国とは知らなかった』とソウル市内で観光客向けにアクセサリーを売る商人が販売減を嘆いた」と、韓国・中央日報が伝えた。

 

 5月、「最低賃金を2年間で29%も引き上げたことで、庶民層の雇用である臨時職、日雇いの働き口が19万5000人分も消えた。台所が苦しくなった庶民が借金をしたことで、家計債務はさらに膨らんだ。貯蓄銀行などノンバンク(第2金融圏)から借金をして、年20%以上の高金利に苦しむ債務者が2200万人を超えた。国民2-3人に1人の割合で“危険な債務者”がいる計算だ。うち貸金業者にまで手を伸ばした人は412万人に達する。昨年廃業した零細自営業者は100万人に達し、自営業者の金融債務はムン・ジェイン政権発足以降に14%増えた。」と、新聞は書いていた。

 

 韓国の新聞も、さすがに暗い話題だけでは良くないので、元気の出そうな旧聞を探し出してみた。

 「最悪に突き進むような韓日関係を見てイ・ゴンヒ・サムスン会長が説破した“克日論”が思い出される。S級の若い人材を日本のB級電子メーカーだった三洋電機に産業研修生として送りあらゆる蔑視の中で半導体製造技術を学ばせた李会長が口癖のようにした話がある。『面積で見ようと人口で見ようと蓄積された国力で見ようと韓国が国対国として日本を跳び超えるのは容易ではない。しかし企業としてサムスンはどんな日本企業にも勝つことができ、そうしなくてはならない。』 

  彼の話通りにサムスン半導体と家電、スマートフォンなどで日本企業を確実に押さえて世界の最頂上に上った。三洋電機だけでなくかつては世界市場を制したソニーパナソニック東芝などがサムスンに押され半導体や家電などの事業を放棄した。」と。

 

 だが、わたしたちは知っていた。「漢江の奇跡」(これも日本の援助があってこそ)に続く韓国経済の躍進は、日本の経済高度成長をなぞった加工型輸出貿易の賜物であって、いずれは同じ発展パターンを真似た後進国にキャッチアップされるだろうことを。

 果せるかな、「サムスン電子の中国スマートフォン市場のシェアは2013年の19.7%から下がり続け昨年は0.8%まで落ち込んだ。同じ期間にファーウェイ、VIVO、オッポ、シャオミの中国携帯電話大手4社のシェアは23.1%から85.1%と3倍以上に拡大した。テレビ、冷蔵庫、洗濯機など家電産業で世界最高の競争力を持つLGエレクトロニクスも中国では振るわなくなっている。LGエレクトロニクスの中国売り上げは2009年の4兆7594億ウォンから昨年は2兆3768億ウォンと9年間で半減した」(2019/6/05 韓国経済新聞)のである。

 

 ぼんやりとした不安、高止まりする青年失業率。そこで、気晴らしに「親日積弊清算」に力を入れてみた。

 「韓国・京畿道教育庁は6月、道内の小・中・高校およそ2300校の児童・生徒および教師を対象に『学校生活の中の日帝残滓(ザンシ)発掘調査』を行い、“修学旅行”“ファイティング”といった日常用語を清算対象の『日帝残滓』に挙げたという。修学旅行は日本統治時代、朝鮮の生徒に日本を見学させた行事から始まったとして、修学旅行という言葉まで『親日』と決め付けたのだ。『親日残滓清算プロジェクト・タスクフォース』を立ち上げたイ・ジェジョン京畿道教育監(教育庁のトップ)は、東西南北が入っている校名も『日帝残滓』とする立場だという。」(2019/7/9 朝鮮日報オンライン)

 ところが、これもなかなか思うに任せない。たちまち、「京畿道教育庁が管内の初等学校(小学校)、中学校、高校に文書を送り、『日帝残滓清算』との立場から“修学旅行、ファイティング、訓話”などの単語は日本から来たので『日帝残滓』と指摘した。児童・生徒たちに『本人が考える日帝残滓の概念はどういうもので、それらはどうやって清算すべきか』と問い掛けた。しかしこの言葉の中にある“本人”“概念”“清算”は日本から来た言葉だ。“単語”もそうだ。」と指摘される始末である。

  

 韓国にとっては、うつうつと楽しくない日々だった。

 「韓国企業が所有・管理していた北京・長安街のサムスン現代自動車の広告板が、6月29日深夜に事前通知や補償の約束もないまま北京市当局によって全て奇襲撤去された。大阪の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、習近平国家主席は各国首脳に『海外企業に対する公平な待遇』を約束し、米国に向けて『平等で相互尊重に基づいた貿易交渉』を要求したが、現実は外国企業との契約を一方的に無視する中国の素顔をありのまま見せつけた」(2019/7/1 朝鮮日報オンライン)時も、じっと我慢の子であった。

 

 ときあたかも、これまでおとなしかった日本、公館前にいやがらせの偶像を置いても耐えた日本、憎い日本、本音では仮想敵国である日本(ウソだと思うなら、韓国海軍主力艦の名前を見てみたまえ)が、対韓国輸出管理を強化すると言いだしたのである。

 「なんてこった、あのクソ日本野郎が」である(桃太郎侍でもないのに、「許さん!」となったのである)。

 

 「韓国与党・共に民主党は7月17日、日本政府による輸出管理強化措置発動を受けて党内に設置した『日本の経済報復対策特別委員会』の名称を、『日本の経済侵略対策特別委員会』に変更したと発表した」(2019/7/18 時事通信)。

 「日本の経済報復に憤怒した日本製品不買運動が韓国全土に広がっている。不買リストが出回るかと思えば、日本旅行キャンセルも続出する。日本車への給油を拒否するガソリンスタンド、日本製品の販売拒否をする店舗網も登場した。ソーシャルメディアには『行きません、買いません』というオンラインポスターが広まっている。日本製品を買ったり日本に旅行に行ったりすれば『売国奴』扱いを受ける状況だ。与党議員は『義兵を起こそう』と加勢した。さらにアイドルグループの日本人メンバー退出要求まで佳境に入っている。」(2019/7/10 中央日報

 日本旅行不買運動には、とりわけ熱心である。

 「日本の松山大学に勤務するチャン・ジョンウク教授は7月15日に韓国のラジオ番組に出演して、『日本旅行不買運動が非常に(日本に)大きな打撃を与えるものと承知している』と明らかにした。チャン氏は『特に観光客の30%が韓国人である別府、福岡など中小地方都市の商人、宿泊業は直ちに被害を感じる』とし『そのために道知事が、景気が突然悪化すれば(日本与党の)自民党に圧力を加えることができる。そうした点で(打撃)効果がある』と話した」(2019/7/17 中央日報)そうである。

 李承晩政権時代から連綿と続いてきた「反日」教育の”成果”がフルに発揮され、かつ極端な国民性があり、さらに大衆運動の論理の然らしめるところ、行きつくところまで行くに違いない。なにしろ、同盟国の駐韓アメリカ大使を切りつけ、同盟国のアメリカ大使館を反米デモで包囲してアメリカ大使館側から「外交公館保護義務を規定したウイーン協約違反だ」と抗議された国なのだから。

 

 韓国は日本に対して、「世界貿易機関WTO)に提訴する」といきり立った。ところが、なんと、藪(ヤブ)をつついたら蛇がでた。

 世界貿易機関WTO)は、“発展途上国”に対して、「特別かつ異なる待遇」(S&D)を与えている(この「特別かつ異なる待遇」が認定されれば、関税や補助金などで優遇措置を受け、自国産業を保護することができる)。

 「韓国は1996年に経済協力開発機構OECD)に加入した当時、先進国入りを宣言するよう要請されたが、農業分野への打撃を懸念し、農業を除く分野で開発途上国への優遇を主張しないことで合意し、開発途上国にとどまった。」(ロイター通信)

 かねて先進国入りをしたと鼻高々だった韓国だが、実は、いまだに“発展途上国”として、この「特別かつ異なる待遇」(S&D)を受けていることが明らかになったのである。ズルをして“自由貿易”(?)の利益を満喫していたのである。

 

【参考】

 「世界貿易機関WTO)ルールがもはや時代錯誤なのは、中国のような自由貿易を阻害している国を加盟させてしまったこと。また、今回の問題を招いた発展途上国の優遇措置、いわゆる『S&D』(特別のかつ異なる待遇)があることだ。これは、世界貿易の発展のためには必要な措置だが、発展途上国か先進国かを決めるのが“自己申告”という点がトンデモナイのである。

 そのため、中国や韓国のように、いつまでも自国を発展途上国と言い張る国が出てくる。とくに、中国は、加盟時に約束した市場の自由化や透明性を高める努力を明らかに怠ってきた。

 韓国は、昨年、台湾がもはやこれ以上発展途上国と言い続けるのは恥ずかしいと自ら優遇措置を放棄したのにもかかわらず、知らん顔を通した。

 すでに、トランプが言うようにWTOは壊れている。アメリカは何度もWTO改革を訴えたのに聞き入れられなかったため、2016年から、WTOの紛争処理機関で最高裁の判事に当たる上級委員会の委員の任命(任期は4年、再選は1回限り)を拒否してきている。

 WTOの上級委員会は、7人の定員から3人が選ばれて審理を行うことになっている。ところが、現在、アメリカの拒否が続いているため、上級委員が3人しかいない。このうち2人の任期は、今年の12月に切れる。

 となると、上級委員会は実質的に機能停止に陥る。つまり、WTOは紛争裁定ができなくなる。トランプが発展途上国優遇への不満をぶちまけなくとも、壊れるのは必至である。

 韓国はWTO加盟国だから、このような状況をわかっているはずだ。それなのに、7月24日にジュネーブで開かれたWTO一般理事会で、日本の輸出管理強化を不当だと訴えた。もはや、審理さえされないはずなのに、時間の無駄である。

 しかも、日本の措置は“徴用工問題”に対する報復だとしたのだから、その外交センス、時代錯誤ぶり、いや国家そのもののあり方を疑うしかない。

 いまや世界は、ファーウェイに象徴されるように、中国排除に向かっている。とくに、世界貿易からは、今後、中国は排除されていくだろう。脱中国のサイプライチェーンが形成されようとしている。

 そんななか、韓国は、どうしようというのだろうか?

 “ホワイト国”外しでは、反日を旗幟鮮明にしたが、今回の“発展途上国”外しでは、相手がアメリカだけに沈黙している。本来なら、台湾同様、自主返上だろう。」(山田 順)

 

【参考】

  韓国銀行は2018年1人当たりの国民総所得(GNI)が3万1349ドルで前年(2万9745ドル)より5.4%増えたと2019年3月5日、発表した。ドル基準で2006年2万ドルを突破してから12年ぶりに3万ドルの高地に上がった。これで韓国は1人当たりGNIが3万ドル以上であり人口は5000万人以上の「30-50クラブ」に世界で7番目に名乗りを上げることになった。

 

【参考】

 韓国・国民が大気汚染問題を憂慮し、深刻に受け止めている状況で、大企業が大気汚染物質の排出を隠蔽していた事実が発覚した。化学大手のLG化学とハンファケミカルが微粒子物質の生成物質の排出量を捏造し、虚偽で報告した。サムスン電子を含めてGSカルテックス、錦湖(クムホ)石油化学、ロッテケミカルなど大手企業6社も大気汚染物質の排出量を捏造した疑いを受けている。これらの中には特定の大気有害物質排出基準値を173倍も超過したにもかかわらず、「異常なし」と捏造した事例もあった。

 

【参考】

 ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、世界造船市場における中国のシェアは2021年までに52%に達する。08年は24%だった。一方、08年に38%のシェアを誇った韓国は21年までに22%に低下する見通し。中国はまた中国船舶重工集団と中国船舶工業集団の合併を計画しており、現代重工をはるかにしのぐ巨大造船会社を誕生させようとしている。

 多くの業界で成長が鈍化している韓国では、財閥(チェボル)による産業モデルの有効性に疑問を抱く国民が増えている。

断章54

 「香港中心部で7月21日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする『逃亡犯条例』改正案に反対する大規模デモが行われ、警察は夜、居残っていたデモ隊の強制排除に乗り出した。警官隊とデモ隊が衝突し、警察は多数の催涙弾を使用した。香港政府によると、8人が負傷した。

 若者のデモ隊の一部が、中国政府の出先機関『香港連絡弁公室』に卵を投げたり、国章に黒い液体をかけたりした。習近平指導部は『侮辱行為』でメンツをつぶされた形で、中国政府は『中央政府の権威に公然と挑戦する行為で、絶対に容認できない』と非難するコメントを発表、強く反発した。」(2019/7/21 共同通信

 既報のとおり、今年の、「5月12日、天安門事件で、失脚した故・趙紫陽元総書記の政治秘書だったパオ・トン氏が、香港の民主派団体『香港市民支援愛国民主運動連合会』が主催した同事件発生30年に関するフォーラムで中国共産党を非難する声明を発表した。

 パオ氏は『天安門事件に関する随筆』と題した声明で『六四(天安門事件)は過去の悪夢ではない。六四以降、あらゆる権限を持つ共産党が軍や警察を率いて、国民に暴力的な抑圧を加えている』と非難し、『中国人は人生を共産党に厳しく支配されているが、香港も同じ事態が避けられないだろう』と訴えた」(5/12 朝日新聞デジタル

 

 中国共産党は、親中派を動員して反撃する機会をうかがっている。

 「7月20日親中派の集会には主催者発表で31万6千人(警察発表は10万3千人)が参加した。」(日本経済新聞

 

 自由を守りたい条例反対派と経済的な混乱を厭う親中派が激突して大きな混乱がおきれば、中国共産党人民解放軍を動かすだろう。

 そして、こう言うに違いない。

 「ここでは、だれもが幸せになり、おまえの自由のもとではどこを見回してもそうであったように、反乱を起こしたり、たがいを滅ぼしあったりする者もいない。・・・われわれに自由を差しだし、われわれに屈服したときに、はじめて自由になれるのだ」(『カラマーゾフの兄弟』)と。

 

【補】

「香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの盧建霊記者はツイッターで、『香港のデモ参加者が疑問に思っているのはただひとつ、警察はどこだ?』、『Tシャツ姿の男たちはデモ参加者を襲うように命令された暴漢だと伝えられている』と投稿した。」(7/22 BBCnews)