断章556

 日経平均株価の過去最高値は、1989年12月29日の38,915円87銭。過去最安値は、2009年3月10日の7,054円98銭である。ここ最近、日経平均株価は大幅に上昇し、終値で3万3000円台を付け、バブル崩壊後の最高値を更新している。異次元金融緩和の管理相場とはいえ、驚きである。

 わたしは、時に、SBGの株価を見る。なぜなら、型破りなSBGの孫 正義会長兼社長に注目しているからである。

 ソフトバンクグループ(以下、SBG)の株価も足並みをそろえ、今年3月16日の4,766円から、この6月21日には6,964円まで急速に値を上げた。

 先日のSBG株主総会では、「株主から、『傘下のビジョン・ファンドでの2023年3月期の約5兆3,000億円の損失の責任をどう考えるか』との質問が出た。

 孫氏は『厳しい質問ですね。2兆、3兆上がったり下がったりは誤差のうちだ』と述べた。そして自ら『不謹慎ですね』と前置きしながらも、『株主の皆さんを前にそういう不謹慎なことを言ってはいけないが、本音でございますので、正直に申し上げました』と言ってのけた。回答はこれだけで、すぐ『次の質問を』と促した」(毎日新聞)という。

 孫 正義氏のファンであれば、大物ぶりを感じる発言かもしれない。だが、わたしは不穏な気配を感じる。経営者というよりは、捨て鉢なバクチ打ちの匂いがする。

 

 片や、アメリカのウォーレン・バフェットは、(ブルームバーグがまとめたデータによれば)日本の商社株への投資で2020年以降に推計で45億ドル(約6,000億円)を稼いだ。2020年8月当時の投資額は約61億ドルと見積もられる。昨年11月にも約24億ドルを追加投資した。この価値は現在合わせて130億ドルほどになっているそうである。バフェットは、着実に稼いでいる。

 

【参考】

 「ソフトバンクグループ(以下、SBG)の孫 正義会長兼社長が、AI(人工知能)に大攻勢を賭けようとしている。こうしたことは2度目だ。孫氏は2018年時点で既に、投資家向け説明会の冒頭にAIの将来について興奮気味に『予言』した。

 しかし、その後に孫氏が手当たり次第に投資してきた経緯を考えれば、AIで『反転攻勢』をかけるという今回の方針転換を、投資家は大幅に割り引いて受け止める必要がありそうだ。

 2016年に英半導体設計企業アームを買収したことは、孫氏がAI分野の勝ち組企業を見定める目を持っていることを証明した。だが、それ以上の意味はない。3月時点で、SBGの株式ポートフォリオ15兆9,000億円に占めるアームの割合は18%にとどまっている。

 もう1つの主要投資先だった米半導体企業エヌビディアも、AI分野の星と言ってよいだろう。しかし、残念ながら孫氏は2019年に同社株の大半を売却しており、現在は500億ドル相当しか保有していない。

 孫氏が言う通り、SBGが500社を超えるAI関連企業に投資しているのは事実だ。だが、大半は消費者向け事業を手がけるスタートアップ企業で、事業戦略を加速させるためにAIを利用しているに過ぎない。これらの企業は自社の貴重なデータを使ってAIモデルを訓練し、生産性の向上やより正確な需要把握につなげることができるかもしれない。しかし、同じことを行っている企業は世界に何千社もある。

 AI技術はまだ黎明期にあるため、孫氏がこの分野の勝ち組企業に投資できる時間は残されている。しかも、SBGには理論上、350億ドルもの手元資金がある。もっとも、同社が多額の債務を抱えていることを考えると、実態は違う。3月時点の純債務は1兆5,000億円で、ポートフォリオ価値の11%に相当する。同社はこの比率を25%以下に抑えたい意向であるため、Breakingviewsの計算では、実際に使える手元資金は140億ドルにとどまる。

 最も修復が難しいのは、失われつつある孫氏の信頼性だ。孫氏は対話型AI『チャットGPT』を開発したオープンAIには投資せず、数十億ドルの資金をAIの最先端技術とは無縁の企業にばらまいてきた。その筆頭が米シェアオフィス大手のウィーワークで、同社の場合は人工知能どころか人間の知能もおぼつかないことが判明した。孫氏の主力ファンド、ビジョン・ファンドは、創設以来の内部収益率が4%と悲惨だ。

 もちろん、ビジョン・ファンドには含み損益を実現するまでになお8年の猶予がある。また、サウジアラビアの政府系ファンドなどの『リミテッド・パートナー』に対しては、もっと高いリターンを提供してきた。

 しかし、ファンドが直面してきた数々の重圧は、孫氏を『実存的危機』に追いやるのに十分だった。孫氏自身が6月21日の年次株主総会で、昨年は企業家としての手腕が疑問視され、数日間涙が止まらなかったと認めている。従って孫氏に資金を託している投資家は、今後数年間は大幅な状況改善が見込めないと覚悟すべきだろう」(2023/06/23 ロイター通信)。