断章496

 「人間の欲望やその他の情念は、それ自体としては、罪ではない」(ホッブズ)。

 ネトウヨは、いけ図図しく借用する。

 人間(ヒト)の〈飽くなき欲望〉は、それ自体としては悪ではない。

 〈飽くなき欲望〉の根拠は、生き物としての生存に対する〈飽くなき欲望〉にあり、その核心は〈自由〉である。

 

 「中国で厳しい新型コロナウイルス規制に対する抗議活動が行われ、27日までに上海を含む各都市に広がった。新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した火災をきっかけに怒りが渦巻き、中国指導部を非難する声も上がっている。

 24日にウルムチの高層ビルで起きた火災では10人が死亡。当局は否定するものの、インターネット上ではビルが部分的にロックダウン(封鎖)されていたため住民が逃げ遅れたとの声が上がり、動画などによると25日夜にはウルムチの路上でロックダウンに抗議するデモが起きた。

 上海では26日夜、ウルムチにちなんで名付けられた市内の道路に住民が集まり、ろうそくをともす追悼活動が行われたが、27日未明に抗議活動へと発展。大勢の警察が見守る中、群衆は検閲に対する抗議の象徴である白紙の紙を掲げた。

 ソーシャルメディアに投稿された動画によると、群衆はその後、『ウルムチ封鎖を解除しろ、新疆封鎖を解除しろ、中国全土の封鎖を解除しろ』と叫んだ。

 同日夜までに周辺に数百人が集まり、警察ともみ合いになる人も見られた。

 ロイターの記者は、警察が数十人をバスに乗せ、その後、走り去るのを目撃した。

 目撃者や動画によると、別の場所では大規模な集団が『中国共産党は退陣しろ、習近平国家主席)は退陣しろ』と叫び始めた。中国指導部に対する公の抗議活動は異例だ。

 北京では28日未明、合わせて1,000人以上に上る2つのグループが亮馬河周辺に集まり、一方のグループは『マスクは要らない、自由が必要。コロナ検査は要らない、自由が欲しい』と叫んだ」(2022/11/27 ロイター通信)。

 これについて、「イェール大学のダン・マッティングリー助教授(政治学)は『党が弾圧に乗り出し、一部デモ参加者が逮捕・起訴される可能性が高い』としつつ、1989年の天安門事件のような騒乱にはほど遠いと指摘。『エリート層に分裂がなく、人民解放軍と治安機関が付いている限り、彼(習主席)の権力が大きなリスクに直面することはない』と語った」(2022/11/27 ロイター通信)。

 

 何 清漣は、2017年にこう言った。

 「今後10年以内に中共政権が崩壊するような危機の共振現象が発生しないことは明らかだろう。だが、だからと言って北京がまともな政府のように中国をきちんと統治し、危機に満ちた社会を正常な軌道に導くと期待してはならない。中共政権は高圧的な安定維持、プロパガンダ・マシーンの運用、批判的言論の封殺を除けば、その他の正常な管理能力をもはや失っている。この『衰退しても崩壊しない』状態が長引けば長引くほど、中華民族が社会の再建に要する資源はますます失われてしまうのだ」(『中国 ―― とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国”のカラクリ』)。

 

 旧・ソ連共産党支配の『衰退しても崩壊しない』状態は、長くつづいた。その赤色全体主義体制の相互監視と密告の政治、ノルマと配給の経済によって培(つちか)われたロシア国民のメンタリティー(心的傾向)が、皇帝ダース・プーチン権威主義体制を受け入れたのである。