断章507

 パンデミックの脅威もつづいている。

 新型コロナの世界感染者は、直近で累計6.63億人。合計死亡者数は670万人である。

 「日本の厚生労働省によりますと、1月6日に発表した新型コロナウイルスによる全国の死者数は456人で、2022年12月29日の420人を上回って、一日の発表としては、これまでで最も多くなりました。

 また、1月6日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め24万5542人で、静岡、大分、茨城、和歌山、鳥取、岡山、山梨の7つの県で過去最多となりました」(2023/01/06 NHK)。

 日本の「感染者数累計は、3千万人を超えた。死者数も1カ月余りで1万人近く増え、過去最速のペースで(合計死亡者数)6万人に迫る。専門家は『対策の緩和や気の緩みが影響している』と指摘する。地方での感染拡大も顕著で、医療現場も切迫してきている」(2023/01/06 朝日新聞デジタル)。

 

 中国については、昨年末、「英国の医療関連調査会社エアフィニティーは29日、中国での新型コロナウイルスによる死者が1日当たり約9,000人との試算を示した。1週間前の試算からほぼ倍増となる。

 発表では、中国での12月1日以降の死者数が10万人に達し、感染者数は合計1,860万人に上ると指摘。試算には感染者数の報告に関する変更が実施される前の中国各省のデータに基づくモデルを用いたという。

 中国のコロナ感染は1月13日に最初のピークを迎え、1日当たり370万人に達すると予想。1月23日には死者数がピークに達し1日当たり約2万5,000人になると見込んだ。12月以降の累積死者数は58万4,000人になるという」(予測を)、ロイター通信が報じている。

 さらに、「米国で新たなオミクロン株の下位系統XBB.1.5が急速に拡散している。現存するオミクロン下位変異株のうち免疫回避力が最も強いといわれ、米保健当局が緊張している。

 2日(現地時間)、米疾病管理予防センター(CDC)によると、先月31日基準でXBB.1.5が新型コロナウイルスの全体感染例のうち40.5%を占めることが明らかになった。これは先月24日基準の21.7%から1週間で倍近くに増えた数値だ」(2023/01/03 韓国・中央日報)。

 

 感染症パンデミックの脅威は、早くから警告されていた。たとえば、日本の(財)日本再建イニシアティブは、『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(2013)で、「アメリカでは1982年を境に、感染症による死亡者数が増え始めた。しかもエイズ出現後、感染症アウトブレイク(集団発生)とパンデミックは、数が拡大し、さらに加速する傾向。高病原性鳥インフルエンザ(1997)、ニパウイルス感染症(1998)、ウエストナイル熱(1999)、SARS(2003)、パンデミック・インフルエンザ(2009)、病原性大腸菌О104(2011)。

 原因は抗生剤の乱用による耐性菌の出現や、地球温暖化による微生物の分布の変化など環境がウイルスにとって優位に変わっていることがあげられる。また、グローバル化も影響しているだろう。……人の移動や物流にともない、ウイルスが赤道をまたぎ、大陸から大陸に簡単に移動する。ウイルスにとって地球は狭くなったのである」と述べていた。警告は、ほとんど無視されたのである。

 

 他にも、「性感染症である梅毒の感染者の、2022年の報告数は8,456人(9月11日現在)に達した。現在の調査方法となった1999年以降で最多だった2021年の7,875人(速報値)を上回り、過去最多を更新したことになる。

 (医師によれば)「『梅毒に関する正しい知識がないからこそ、増えてしまっている状況も考えられます。このまま増えると数年後に、症状はないものの血清抗体価が下がっていない潜伏梅毒の人が、脳や心臓などの中枢神経系にまで感染が広がり、命にかかわる状況になりえます。そういう人がどんどん増える可能性があり、注意すべき状況です。……女性の感染者に、CSW(コマーシャルセックスワーカー。性的なサービス提供を仕事にしている人)が多く含まれている可能性があると思います。性行為をする年齢層であれば感染の危険があるので、最も若くて10代後半にも感染者がいる可能性はあるでしょう』」(2022/10/05 AERA dot.)という。

 あるいは、「千葉県は3日、同県旭市の養鶏場で高病原性の疑いがある鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が発生したと発表した。福岡県古賀市の農場でも同日、ダチョウに似た大型の鳥エミューの感染が確認された。

 農林水産省によると、今季の農場・施設での高病原性鳥インフル発生件数は23道県54件となり、1シーズンの事例数としては2020年度(20年11月~21年3月)の18県52件を上回って、過去最多を更新した。(中略)

 感染の確定を受け、千葉県は鶏約9,600羽、福岡県はエミュー約430羽の殺処分を始めた。今季の全国での殺処分の対象は約775万羽に上っている」(2023/01/03 読売新聞オンライン)。

 「鳥インフルエンザウイルスは、通常ヒトには感染しませんが、感染した鳥に触れる等、濃厚接触をした場合などにきわめてまれに感染します。ヒトが感染した場合、1~10日の症状のない期間があった後、高熱、咳などの症状を示します。急激に全身の臓器が異常な状態になり、死亡することもあります」(Wikipediaから)。