断章471

 サンバホイッスルの音で心浮き立つカーニバル。「サンバのリズムが 一千一秒 ときめきを ムダにしないでって そう告げるの 踊り 踊らされて カーニバル」(中森 明菜♪)。そんなカーニバルも終わる日が来る。経済の好況・高度成長そしてバブルも、いつか終わる(人生さえも……)。

 

 「人間は歴史から学べるのでしょうか?」との日高 敏隆(動物行動学者)の問いに、コンラート・ローレンツは、「そのとおり、人間が歴史から学んだことは、人間は歴史からは何も学ばないということですね」と答えたという。ならば、歴史は韻を踏むだけでなく、繰り返しもするだろう。

 「21世紀の多極化する世界を理解しようとするのであれば、ヨーロッパ史をひもといてみればよい。今日、世界はそれを引き継いでいる。すべての国家は、ヨーロッパで発明された国民国家モデルに収まっている。国民国家では、各国が自らの境界内においては『皇帝』であり、自分たちの境界に激しい執念を燃やしている。近未来の世界の最も懸念される脆弱性は、そこにある。新興勢力は、産業によって得た富を利用して、最新の軍事力を行使して、昔の境界紛争を解決しようとするだろう。彼らは昔の勢力を取り戻そうとするはずだ」(ダニエル・コーエン、2013)。

 「国民国家は重要性を失った。グローバリゼーションの時代にふさわしいのは、世界市民だ」と浮かれていた日本の自称「知識人」リベラルたちは、ウクライナ戦争に直面して、ただ黙している。

 

 1930年代型複合危機の到来に備えなければならない。

 大国間の覇権争奪戦の激化。バブルの破裂による世界金融恐慌。首都直下あるいは南海トラフ震源とする巨大地震。新たな感染症によるパンデミック。皇帝ダース・プーチンに似た指導者による新たな軍事侵攻。日本人になりすました敵性国家による日本人のアイデンティティ愛国心)破壊のサイバー攻撃。八方美人的な税金バラマキをメインとする未来ビジョンの希薄な覚悟なき政治。

 歴史は繰り返す。1929年に発生した世界金融恐慌により、すべては暗転した。アメリカやドイツの失業率は、国民の25%に達したのである。そんな時代に伸張したのは、ファシズム(黒色全体主義)であり、マルクス・レーニン主義(赤色全体主義)だった。