断章474

 「繁栄こそが平和を促し、貿易によって国際社会に平和が訪れるはずだ、と安堵(あんど)する傾向がある。しかし繁栄を各国がともに謳歌するなかで、第一次世界大戦は勃発したのだ。ドイツの成功に対し、他のヨーロッパ諸国は懸念を抱いた。そしてドイツは自信を持つようになった。平和と繁栄が一体だと考えるのは、残念ながら幻想だ」(ダニエル・コーエン)。

 

 「ロシア外務省は12日、今週行われた日本の自衛隊と米軍との協力訓練で、ロシア国境付近で高機動ロケット砲システム『ハイマース』が発射されたとして、日本大使館に抗議した。

 ロシア外務省は声明で『実施された軍事演習はロシア極東地域の安全確保に対する挑戦とみなし、そうした行動の即時停止を強く要求する』とした。また『日本側には、ロシアに対する軍事的脅威を防止するための適切な対応が不可欠であることも警告した』とした」(2022/10/13 ロイター通信)。

 

 「ならず者国家」・朝鮮民主主義人民共和国と大差のない、ドあつかましい抗議である。

 なにしろ、自分たちは……、「ロシア国防省北方領土に配備された地対空ミサイルシステム『S300』の訓練を行ったと発表し、軍事侵攻後、厳しい制裁をロシアに科したアメリカや日本をけん制するねらいがあると見られます。

 『S300』は半径400キロ以内に接近した戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力をもつ対空防衛のための兵器で、訓練では空中にある数十個の目標をすべて撃墜したとしています。

 ロシアのプーチン政権は軍事侵攻をきっかけに各国から厳しい制裁を科されたことに反発を強め、今月7日には『非友好的な国と地域』を公表し、日本やアメリカ、イギリス、EUヨーロッパ連合の加盟国、それに韓国や台湾などを含めました。

 ウクライナへの軍事侵攻のさなかに北方領土で訓練を行った背景には、ロシアに制裁を科し圧力を強めるアメリカや日本をけん制」(2022/03/11 NHK NEWS WEB)したのだ。

 

 日本の政治家にロシアと向き合う覚悟はあるのか? そのハートと意志は? 

「カタリナ・ユシチェンコウクライナ大統領夫人は、ロシア侵攻2日目の2月25日、ツイッターに1枚の写真を投稿し、『この80歳の男性は、軍に入隊しようと現れた。持っている小さなカバンにはTシャツと下着が2枚ずつ、そして歯ブラシと昼食のサンドイッチ。彼は〈孫のために戦う〉と言った』と記した。

 大方の予想を裏切るウクライナ側の善戦の象徴として、この老人にも脚光が当てられ、3月14日時点で33万5000以上の『いいね』が付き、リツイートは5万以上。インドのニュースサイト、タイムズナウは『ウクライナのハートと意志は強靱(きょうじん)なのだ』と報じ、称賛した」(2022/03/14 中日スポーツ)。