断章187

 「内閣府が17日発表した2020年4~6月期の国内総生産GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1~3月期から7.8%、年率換算で27.8%減った。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を超える戦後最大の落ち込みとなった。

 4~6月期は感染拡大を抑えるため、政府が緊急事態宣言を出し、個人の外出や店舗の営業が制限された。個人消費を中心に経済活動が広く滞り、GDPは統計をさかのぼれる1955年以降でかつてない落ち込みとなった。

 日本のGDPは消費税率を10%に上げた19年10~12月期から、すでに減少に転じている。東日本大震災を挟む10年10~12月期から11年4~6月期以来となる3期連続のマイナス成長に沈んだ。年率換算の金額は485.1兆円。12年10~12月期以来、7年半ぶりに500兆円を割った」(2020/8/17 日本経済新聞)。アメリカのGDPは、4-6月期に53兆円減少した。

 

 GDP値だけを見れば、アメリカ、日本ともに、株価は深い2番底に沈んでいても不思議ではない。にもかかわらず、日経平均株価(指数)は、17日現在、23,096円をキープしており、NY市場(ナスダック市場を含む)の時価総額は、新型コロナに怯えて暴落した頃より735兆円も増えているのだ。

 

 相場は、国家(中央銀行)による、一見無尽蔵に見える、大金の投入によって下支えされ、アメリカ、中国、韓国、台湾などは年初比プラスに浮上している。しかも、最先行のオックスフォード大学とアストラゼネカのワクチンは9月にも実用化へ向かうなど、ワクチンが実用段階に入ってくることを考えれば、「コロナパンデミックの最悪期は過ぎたのではないか。ならば株高は当然だ」として、買い進む向きもある。

 

 しかし、自宅隔離措置違反者には、懲役、90万円の罰金刑まで強行している韓国でも、ソウルを中心とした首都圏で、新型コロナウイルスの感染が再拡大し、韓国政府は、住民に対して、ほかの地域への移動を2週間自粛するよう呼びかけたほか、プロ野球やサッカーも再び無観客試合に戻ったという。コロネは甘いが、コロナは激辛である。

 

 「誰が裸で泳いでいたかが分かるのは、波が引いた時だ」(ウォーレン・バフェット)という。神ならぬ身のわたしたちには、いつ、どのように波が引くか分からない。だから、つねにパンツをはいて〈備え〉なければならないのだ。