断章227
差し当たり、今冬の失業者に10万円の給付を。さらに、プログラミングなどを無料学習できる学校、訓練校コースなどの建設・拡充を急げ。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とも言うが、凡そ、「勝ちには勝つ理由があり、負けには負ける理由がある」ものである。そして、勝つ理由のほとんどは、オーソドックスなもの(正道)である。
それは、国家としての「勝者」と「敗者」を分けたものは何だったのかを探った『強国論』の結語が、「たゆまぬ努力が必要、奇跡など起こらない、完璧などありえないし、千年王国も天啓もありはしない、懐疑的な信念を持ち、独断を避け、注意深く耳を傾け、目をこらし、目的を明らかにし、手段を選ぶことが大切」(David・ S・ Landes)だと言うことからも明らかであろう。
―― 「正道(せいどう)」とは、自分にとって正しいということだけではなく、天に恥じることのない、人間として生きるべき正しい道という意味。「人間として何が正しいか」という極めてシンプルなポイントに判断基準を置き、それに従って正しいことを正しいままに貫いていく。つまり、嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ。人間として守るべき当然のルール、「当たり前」の規範に従いつつ、日々努力を継続することである。
これは、素朴な「処世訓」にすぎないように見える。しかし、「最初の素朴な見方は、概して後の時代の形而上学的な見方よりもヨリ正しい」(エンゲルス)とは、こうした「世俗の知恵」についても言えることなのである。
もし、「雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けないで」まっとうに、オーソドックスに「正道」を貫いて生きてきたが、思いがけないコロナ禍により失業し、「刀折れ矢尽き(かたなおれやつき)」て暮らしに困窮する国民がいれば、それを助けることは、日本国家の、日本の政治家としてのミッションである(ちなみに、2020年分の政党交付金の総額は317億7368万円である)。