断章415
「平和と民主主義」を守るためには、国防力を強化しなければならない。
ドイツ首相の発言を心に刻むべきである。
「ドイツが冷戦後の外交・安全保障政策の大胆な転換に動いている。第2次大戦の反省もあり、ロシアとは対立よりも協力を優先してきたが、ロシアのウクライナ侵攻で警戒が急速に高まった。これまで米国に促されても拒んできた国防費の大幅な増額を決め、エネルギー調達でもロシア依存からの脱却を急ぐ。
『我々は今日、重要な一歩を踏み出した』。ランブレヒト独国防相は14日、最新鋭ステルス戦闘機F35を35機購入する計画を明らかにした。F35は米国との『核共有』の枠組みの中で、核爆弾を搭載する役割も担う。これまで軍備増強に消極的だったドイツが、ロシアへの対抗を明確にした。(中略)
ドイツは連邦軍を増強するために1000億ユーロ(約13兆円)を用意し、国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上に増やす。装備の老朽化が懸念されてきたが、『平和と民主主義を守るため』(ショルツ氏)に大胆な投資に動く」(2022/03/19 日本経済新聞・石川 潤)。
とはいえ、日本の国防力を強化することは、容易ではない。というのは、国防に関することには“なんでも反対”“絶対反対”の政党が存在するし、賛成派においても“総論賛成・各論反対”ですんなり決まらないことが多いからである。なにより、白髪老人化と公共事業散財のために財政がキツキツで、金がない。「軍がなければ主権は無い」というが、「財がなければ軍は無い」のである。
なので、わたしは提案したい。宗教法人に、国防のための税負担をお願いしよう。
平和であり、主権があってこその、自由な布教であり、宗教法人である。
「権威主義体制に支配されても、全体主義体制に支配されても、宗教は心の問題なのだから、変わりなくやってゆける」などと考えてはならない。権威主義体制や全体主義体制の下では、“邪教”として弾圧されたくなければ、権力者の靴をなめなければならないのである。
日本人は、マイルドだったアメリカ軍の占領 ―― それでも禁書やプロパガンダや謀略はあった ―― のせいで、他国・他民族による苛酷な支配への理解不足がある。だから、安易に、「ウクライナは早く降伏した方がいい」という愚か者がいる。満州や樺太での赤軍(ロシア軍)の所業を、旧・ソ連(現・ロシア)による旧・共産圏支配の実態を知るべきである。
軍がなければ主権は無く、財がなければ軍は無い。国防のための税負担を、宗教法人にお願いしたい。
【参考】
「京都市の財政難が深刻化する中、寺や神社に税負担を求める市民の声が目立ちつつある。市民の負担増が避けられない一方、固定資産税などを免除されている寺社が不公平感を抱かれているようだ。ただ宗教界も新型コロナの打撃を受けて台所事情は厳しく、寺社関係者には困惑が広がっている。(中略)
多数の末寺を束ねる宗派の関係者も『文化財の建物は、国の補助を得ても修復に数十億円単位の持ち出しがある。思われるほど余裕はない』と主張。『固定資産税が課されれば、境内の一部をつぶしてマンションや駐車場に変える寺社も増えるのではないか』と懸念する神職もいる。(中略)
ただ、観光客が多い寺の中には『(税金で維持される)道路やバスがあってこそ参拝してもらえる。寺側もできる負担はするのが筋ではないか』との声も。京都で財政難が続く限り、寺社からの財源確保を巡る議論が途絶えることはなさそうだ」(2022/03/19 京都新聞)。