断章4

 わたしは、貧乏である。

 ちょっとお高いご馳走を食べると、きまって「カネは正直じゃのー」とつぶやくのである。

 ついつい、ネットの「マネープランクリニック」(寄せられた家計の悩みに答える)を見ては、妬んだり嫉んだり気の毒に思ったりするのである。

 

 現在、世界が、日本を取り巻く環境が、大々的かつ急速に変化しつつある。アメリカが保障する安保体制の中で自由貿易の恩恵を最大限に享受してきた環境が激変しつつある。

 このような時期に、というよりこのような時期だからこそというべきか、富めるものは益々富、貧しきものは益々貧しくなっているのである。

 世界の、そして日本の貧富の格差拡大は、半端ないのである。

 「世界のお金持ち上位26人が、世界のボトム・ハーフ(貧しい半数)の38億人と同じ額の資産を保有している」といわれている。

 日本の2016年の全世帯収入の平均値は550万円前後で、この20年間増えていない。全世帯収入の中央値は、もっと下の442万円である。「生活が苦しい、やや苦しい」世帯が55%前後もいる。

 「(アベノミクス後の)円安によって大企業は収益を大きく伸ばし、一見すると日本経済は明るさを取り戻したようにも見えました。しかし実際には、円安インフレにより食料品やエネルギーなど生活に欠かせないモノほど値上がり率が大きかったので、多くの世帯で家計を預かる主婦層はそれらのモノの値上がりに敏感に反応せざるをえず、実質賃金の下落を肌でひしひしと感じながら、いっそう節約志向を強めていった」(中原 圭介)のである。

 

 庶民にとって、いわゆる「下流老人」の問題は、決して他人ごとではない。

 ところが、この日本の危機、わたしたち庶民の苦境に本気で取り組む政党は、まだ無いのである。

 太平の逸民である自称「知識人」リベラルたちに期待することはできない。彼らは、知識を鼻にかける口先だけの役立たずであり、「反政府」と「反日」を混同している愚か者だからである。