断章43

 2018年9月刊行であるから、読了済だったら申し訳ない。

 しかし、本の帯の、「戦争で必要なのは、勝つためにはなんでもやるということだ。そこにはズルをすることも含まれる。目的は『勝つこと』であり、『ルールを守ること』ではないからだ」を見て、自分の美学に反する“軍事オタク”の本だと思って買わなかった人が多いかもしれない。

 なので、おなじみエドワード・ルトワックおっさんの『日本 4.0』(国家戦略の新しいリアル)から、韓国にふれた部分の要約紹介をお届けする。

 

 「私は1978年に、ペンタゴンアメリカ国防総省)と契約して、現地の状況を視察するために、韓国に派遣された。(中略)

 このときの私たちのミッションは、アメリカが撤退した後でも韓国が自ら安全を確保できるようにするにはどうすればいいのかを検討することだった。視察の後、私たちは極めてシンプルな提案をまとめた。(中略)

 その後、私はソウルに行って青瓦台(大統領府)の関係者に『われわれの提案はどうなったんだ。・・・』と尋ねると、彼らの答えは、『提案外の計画を進めた』というものだったのである。(中略)

 つまり、韓国は北朝鮮問題に対する当事者意識や国防への責任意識をまるで持ち合わせておらず、ただビジネスだけに関心を示しているのだ。(中略)

 さらに韓国は、北朝鮮の核開発を阻止するような動きをまったく見せていない。大陸間弾道ミサイルの開発の阻止に対する貢献もゼロといっていい。(中略)

 韓国は北朝鮮の非核化にはほとんど興味がない。彼らが北朝鮮に望んでいるのは、単に『トラブルを起こさないこと』に過ぎない。だから金正恩体制の崩壊だけは起きてほしくないのである。朝鮮半島統一も本気ではないだろう。西ドイツが東ドイツに対して行ったように、経済を犠牲にするつもりはさらさらないのである。(中略)

 (韓国は双発戦闘機の開発に大金を投じているが)北朝鮮との戦闘用としては機体のサイズが大きすぎるし、足(航続距離)が長すぎる。明らかに日本との戦いを想定したものだ。もちろん、韓国が本気で日本との戦闘を考えているわけではない。これはあくまでシンボルなのだ。これが彼らの資金の使いかただ。本気で自分たちを守るために資金をつぎ込むのではなく、象徴的なものにしか使わないのである」。

 「韓国という国の戦略的な脆弱さである」。

 

【補】

 「マイケル・グリーン戦略国際問題研究所CSIS)上級副所長は、9月4日、米議会傘下の米中経済安保検討委員会主催による『2019年米中関係検討聴聞会』の公開証言と書面証言の中で『米国の(ほかの)同盟国やパートナーとは違い、韓国は1年以上も米国のインド太平洋戦略に参加するとは明言していない。東南アジア地域の韓国大使たちは米国・欧州・日本・オーストラリアなどの同盟国の集まりを避けて回っていたこともある』と言った」(2019/9/7 朝鮮日報)。