断章377

 「中国の地方議会にあたる人民代表大会の代表を選ぶ選挙に、人権擁護などの活動に関わってきた北京市民14人が、当局の支持を受けない独立系候補として立候補を表明した。

 14人は『庶民の声を当局に届ける手段がない』と訴えているが、立候補表明の直後から警察などの圧力にさらされている。14人には、2015年7月に人権派弁護士らが一斉に拘束された事件で、夫らが逮捕された王 峭嶺さん(49)や李 文足さん(36)なども含まれる。15日にネット上で発表した声明では『(社会の)最底辺で暮らしてきた公民として、庶民が政府や人民代表大会、裁判所、検察などに考えを伝えることが難しいと感じてきた』と訴えた。立候補した女性人権活動家、野 靖環(69)らは取材に『人民代表大会の代表がどこにいるか分からない』と話す。代表の連絡先は公開されておらず、何か問題を抱えていても当局に伝えることが極めて難しいという。15日の声明では『庶民のために声を上げて働きたい』とも記した。

 しかし15日の声明以降、少なくとも4人が警察などから電話で『立候補を許さない』などと告げられた。野さんは、11年と16年の選挙でも立候補を試みたが、いずれも当局の妨害のために投票の段階にまで進めなかった。野さんは当局に複数回、拘束されたことがあり、『とても怖い。これから何が起きるか心配で眠れないが、立ち止まることはできない』と話した。

 習近平国家主席は今月中旬の会議で『中国の民主主義』を自賛し、人民代表大会の制度を持ち上げた。国の制度が民主的かどうかの基準として『人民が円滑に要求を表明できる』『人民が投票権を持っている』などの基準を挙げていた」(2021/10/19 東京新聞)。

 

 そして、こんなことになった。

 「中国の地方議会にあたる人民代表大会の代表選挙に立候補を表明し、当局の圧力で立候補断念に追い込まれた北京市民2人の自宅が、当局の進める再開発に伴って強制的に取り壊された。立候補との因果関係は不明だが、当局による圧力の可能性もある。

 2人は李 海栄さんと郭 啓増さん。11月5日の代表選挙に当局の支持を受けない独立候補として立候補表明した14人に加わっていた。李さんによると、2人の住む北京市朝陽区18里店では10年前から再開発計画が持ち上がった。当時は1800戸近くがあったが、10月末時点では当局の補償を受け入れない李さんら三十数戸まで減っていた。

 李さんらが当局側との話し合いを進めていた最中の12日、李さんらの自宅は当局者や開発業者ら数百人に囲まれた。李さん夫妻が警察に通報に向かったすきに取り壊された。家財道具も持ち去られ、『(毎日服用する)薬も貴重品も何もない』と涙を流した。

 李さんの立候補表明は、立ち退きをめぐる当局の対応に不満を持ったことがきっかけ。李さんは強制的な取り壊しは『裁判所の許可もなく、法的な根拠は皆無だ』と憤る。周辺の住宅もすべて取り壊され、連絡が取れない住民もいるという」(2021/11/23 東京新聞)。

 

 「社会主義国家」による侵略や戦争、人民弾圧に沈黙した(している)日本の「左翼」知識人たちは、本当に「平和」や「人権」に興味があったのか? 資本主義の日本でヌクヌクと暮らし、おしゃべりしている「左翼」知識人たちは、本当に社会主義や平等を信じているのか? 「左翼」知識人たちの「人権」や「平等」とは、彼らの“メシのタネ”にすぎないのだろうか?