断章422

 「ドイツのメルケル前首相の軍事顧問を務めたエリッヒ・ファート氏は2日までに、オンラインで時事通信のインタビューに応じた。ロシア軍のウクライナ侵攻で、ドイツが『過度な平和主義の幻想から覚めた』と指摘。国防費が計画通り増額されれば世界2位となり、米国の戦術核兵器を自国に配備する『核共有』政策も堅持し続けるとの認識を示した」。

 「冷戦終結後、ドイツ最終規定条約で兵力の上限が設定され、その後に徴兵制も廃止された。さらに過去20年間は、米軍などとのアフガニスタンでの作戦に資源が集中した。今回の事態で自国防衛の必要性に直面したが、備えは全くなかった。

 計画通り国防費が国内総生産GDP)比2%に増えれば、米中に次ぐ世界3位となる。ただ、支出拡大だけでなく、平和への積極的行動や非常時に武器を取って戦う覚悟も必要だ。ドイツにはその準備がない。もちろん、力だけでなく外交も重要だ。

 両国(ドイツ・日本)とも第2次大戦で完全な敗北を喫した。ドイツで戦争はネガティブにしか語れず、現在も戦争を外交・安全保障の一部と捉える英米と全く異なる。残念ながら、暴力は過去も未来も外交の一手段だ。多くのドイツ人は目をつぶり、『世界は良い方向に向かっている』と考えてきたが、今は幻想から目が覚めた。(中略)

 軍備増強などは2014年のクリミア併合後に着手できたはずで、アフガン撤退もより早くすべきだったかもしれない。時間は失われた。しかし、それは現在の視点から過去を批判することだ」(2022/04/03 時事通信)。

 

 わたしは、日本もまた国防力増強・防衛産業強化を進めなければならないと思う。

 ところが、韓国・ハンギョレ新聞の東京特派員が、さっそく牽制球を投げてきた。

「(ウクライナ戦争で)日本政府が今年積極的に推進している『敵基地攻撃能力』の保有と国防予算の拡大には弾みがつくものとみられる。事実上の『先制攻撃』を意味する日本の敵基地攻撃は、中国と北朝鮮を想定しており、朝鮮半島に対する軍事的緊張感は大きくならざるを得ない」。

 韓国は、現在の視点から過去(の日本)を批判することが“習い性”の“官製民族主義”である。韓国メディアも、「反日」“官製民族主義”に染まっている。

 だから、このハンギョレ新聞・東京特派員も、「敵基地攻撃能力の保有は、事実上の先制攻撃を意味する」とこじつけるのである ―― おそらく「反日」同調者である日本の「左翼」インテリがまた尻馬に乗るだろう。

 

 では、韓国は、そんなにご立派なのか?

 たとえば、クラスター爆弾禁止条約。「クラスター爆弾は、コンテナの中に多いものは数百個の子爆弾を格納する構造の爆弾ですね。子爆弾が広範囲に広がり、その範囲にいる人々を無差別に殺傷することから、同禁止条約が2010年に発効しました。ただし、米国とロシア、中国、韓国は参加していません」。

 あるいは、武器輸出をみよう。「K9自走砲は韓国が独自の技術で開発した武器で、砲弾48発を搭載し、最大射程距離40キロまで発射することができる。文大統領が昨年12月にオーストラリアを訪問した際、オーストラリアと1兆900億ウォン(約1050億円)に達するK9自走砲の供給契約が締結されている。現在、7カ国に約630門を輸出している」。

 また、3月15日現在、「韓国政府はウクライナに対し1000万ドルの支援をしたことで、『我々もウクライナに支援した』と自画自賛」しているが、「日本政府は2億ドル(約231億円)もの大金を支援している。・・・日本国民からの寄付金もまた40億円(8日時点)を優に超えている」(現代ビジネス)。

 

【参考】

 「北朝鮮金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金 与正党副部長と、軍事担当の朴 正天党書記は、韓国の徐 旭国防相北朝鮮への先制攻撃に言及したことを非難する2日付の談話をそれぞれ公表した。朝鮮中央通信が3日報じた。朴正天氏は、韓国が先制攻撃を含む軍事行動を取るなら、ソウルの主要目標と韓国軍を壊滅させるため軍事力を行使すると警告した」(2022/04/03 共同通信)。